突然の電話-6
バスローブのまま 入口に有った スリッパを履き
ドアをノックすると 扉を開けた 森と視線を合わせた時
月曜日の夜に 玄関を入って来て麻衣を見る拓哉と
同じ光を 森の瞳の奥に浮かばせているのが見え
森は 部屋に入って来た麻衣を見つめ
大きな体が 麻衣を包む様に抱き締めて
耳元に小さな声で
「 ありがとう 」
「 ありがとう 」
奮える体で 麻衣を抱きしめ 繰り返し
囁く様 言い続けて居た
ジャケットを脱いだままで ベッドに座って居たのか
ベッドが沈んでいるのを 麻衣は抱き締められた体で見て
森は麻衣を抱きしめたまま 体を震わせ
「 ありがとう・・・ 」
何度も繰り返して 幼子が母親へ縋る様に
麻衣を抱きしめ 震え続けている
「 ベッドへ・・・ 」
麻衣が囁き 体を外され 麻衣をベッドに森は寝せ
添い寝をするように 大柄な体を麻衣に沿わせ
麻衣の背中にに手を回して 森は麻衣の胸の上に
大きな頭を乗せ 小さく身体を震わせて
「 恐かった・・・ 」
吐き出す様に呟く
麻衣が大きな背中を軽く叩き
麻衣の大きな胸の上で 顔が動いて
胸の膨らみを 確かめる様に動き
大きく 息を吐きだして 体の震えは止まり
バスローブの下の 心臓の音を聞く様に
森の顏は麻衣の胸の上に押し当てられ
部屋の中に 静かな時間が流れ続け
森の吐き出す 微かな音だけを
麻衣は聞いていた
「 社長の会社と 取引出来なく成ったら・・」
森が麻衣の上で 口を開き 森を抱く麻衣が目を下げ
森の頭を見おろした
「 会社が 危なかった・・・ 」
麻衣の手が背中を軽く擦り 森は話を続け
「 昨日報告を 貰った時 真っ先に考えたのは
どうする??? 打つ手を色々考えて
夜中に 電話を入れて 皆を動かして
原因を 対策を 昨日の夜から 動いて
社長の処と取引出来なくなると 株価も下がり
社長の処と同じ数の 取引を出来る会社は
日本に無いから 内の会社の屋台骨が
崩れるかもと 思ったら 恐くて 恐ろしくて
今日は 賭けだった・・・」
「 1万人の社員が 働いて 家族 恋人
親 兄弟 合わせれば 5万人位の
生活を 営みを 背負っているから
恋人に指輪を送ろうと思う社員も
子どもを遊びに 連れて行こうと思う社員も
親を温泉へ 子どもの学費を仕送りを
働いた分 給料が出て それで指輪を
遊園地へ 温泉へ 高校の大学の学費に
それが出来なくなった時・・・・」
森の話を天上を見つめ 麻衣は聞き続け 森の
大きな背中を摩り続け 森の話は続いた
「 社長の 許しを何とか取り付けたい
それだけを 考えていた・・・ 」
森は麻衣の上で 安心したように話を終わらせて
「 たすかった!!・・・ 」
胸の上の顔が 安心した様に 乗せて来て
「 まい!! 」
麻衣が頭を下げ 森の頭を見下すと
「 今夜 俺の傍に居て呉れ 」
怯えたような 寂しさの籠った声で 呟き
胸の上で顔を動かす
麻衣は大きな背中を軽く叩いて 無言で
天井を見つめ 森の話を声を聞き
奮える体で 縋って来た 大きな体に
愛しさが 沸き上がって来ていた
体を少し傾け 森の大きな体を抱き寄せて
「 何時でも 傍に居ますよ 」
優しい声を掛けていた
「 おっぱい 触っても良いか? 」
何時も尊大な男が 10代の童貞の男の子の様に
恐る恐る聞いて来るのを聞いて 笑みを溢し
バスローブを開くと 大きな手が乳房を覆い
唇が乳房を含んで 大きな胸を手が揉み続け
安心したように森が 寝息を発てはじめた
麻衣は乳房を森に預けたまま
静かに闇の中へと 心を落として行った
大きな森の声に 目を開け 起き上がると
窓の傍の椅子に腰かけて パソコンを開いて
森が叱責を飛ばすのが聞こえ
森は幾つもの 電話を掛けて 指示を命令を
朝から出し続け 麻衣は部屋に戻って
軽くシャワーで体を流し 化粧をして
森と朝食の席に着いた 珈琲を口にしている時
麻衣の目を見て
「 土曜日・・・ 」
麻衣が目を合わせると
「 来てくれるか? 」
怯えた目で聞いて来る森の目を見て
笑顔で
「 行きますよ 誠意ですから 」
麻衣が言うと 歪な顔に笑顔が浮かび
表情が変わって
「 昨日はありがとう 麻衣 今日は
一人で帰って欲しい 俺はこれから
幾つか回るから 」
麻衣がカップを置き
「 同行しなくても? 」
森が頷いて 小さく
「 ありがとう 」
言い残す様に呟き 席を立った