昔の男との邂逅③-9
「ーーん、んッ……ちゅ……」
静かな空間に響く、粘着質な音。
犯されたい衝動を耐えつつ、加奈子は理央の口腔内を貪る。
理央が優しく舌を動かそうとしても、加奈子がそれを食らいつくそうと、激しく動かす。
それと連動するように、加奈子の指の動きもさらに激しくなる。
（いきそう……！）
「理央、ん、んぅ、んっ……！」
がくん、がくん、と加奈子は大きく体を揺らす。
理央の体がその反動で上下に動く。
はぁ、はぁ、と短い息を吐きながら、加奈子は理央の体に体液をつけないように、ゆっくりと右手をショーツから抜く。
水飴のような体液が思わず指からこぼれ落ちそうになったとき、理央は加奈子の手を取り、体液で汚れた指を舐め上げた。
「舐めない……で…。濡れてて恥ずかしい…」
理央に強烈な刺激を与えられ、指を舐められている最中、小刻みに体が震える。
「……本当はびちゃびちゃになったマ×コに、僕の汚いチ×ポぶち込みたいのに。舐めるくらい許して」
「そ、そんな言い方………理央のが汚いなんて、思わないよ」
その言葉に、理央は嬉しくなって笑みがこぼれた。
指をしゃぶり終わると「僕も、いい？」と加奈子の耳元で、理央は囁く。
加奈子は何のことだかわからなかった。
理央は四つん這いのような体勢になって、スエットと下着をずらして、ペニスを取り出す。
加奈子の腹の辺りの布をまくりあげて、ペニスを押し付けた。
「あ、恥ずかしい………」
加奈子は思わず声をあげる。
理央は左手と自分の頭をベッドでつけて、自らの体重を支えながら、加奈子の腹に押し付けたペニスを右手でしごきだす。
「加奈子の体、感じながらするのって、すごく贅沢だね……」
はぁ、はぁ、と短く、荒い吐息が加奈子の耳元に伝わる。
決して不快なものだとは思わなかった。
加奈子は目を閉じて、辛そうな体勢の理央の体を抱き寄せる。
触ればお互いもっと激しいことをしたくなることがわかっていて、できるだけ触れない。
目の前にある耳元に、理央はしゃぶりつきたいし、加奈子だって腹に感じる彼の熱を、自分の手で冷ましてやりたい。
（こんな風に動かすんだ……）
目を閉じつつも感じ取れる、彼の熱と、指の動き。
彼はあまり、AVなどを見ないと言っていた記憶がある。
そして、自分とは性的な行為を幾度もしているからーーおそらく、もし一人でするとするなら、本間佳織のとの行為を思い出しているのではないか。
確認した訳では無いが、もしそうならーー今はそれを独り占めしているのだと思うと、加奈子は嬉しかった。
あまり煽るような行為はしてはいけないと思いつつ、彼のTシャツの中に右手を差し込んで、汗だくの胸元をなぞる。
この拍動は、興奮は、自分だけのものであってほしい。
切なそうな表情をした彼が動きを止めて、顔をあげる。
二人の視線が絡まった。
加奈子は思わず、背中に這わせる左手を、理央の首元までずらして、細い指先で首元を撫でる。
びくん、と理央の体が震えた。
そして、引き寄せてーー唇を奪う。
佳織には渡さないーーそう思いながら。
「は、ぁ……贅沢すぎる……でしょ、エロすぎ」
「入れなくたって、理央の……独り占めしたいから」
その加奈子の一言で、理央の張り詰めた理性の糸がぷつん、と切れたらしい。
「加奈子、そんな言い方……犯すよ、マジで」
切なそうな表情から、獲物を捕らえるオスの目に変わる。
ペニスを握っている手を素早くしごいて、先程まで優しかった舌を激しく動かすと、口腔内を荒々しくねぶる。
「ん、ん、ぅ、……んっーーんんっ」
キスしながら、加奈子のTシャツをさらにたくしあげて、胸をめちゃくちゃに揉む。
汗ばんだ乳房の頂きを指先で捕え、弾いていく。
がくん、と加奈子の体が、強烈な刺激に耐えかねて仰け反る。
「独り占めしたいとか言う加奈子が悪い。本当は口のナカに、マ×コにぶち込みてぇ」
「あたしだ……って……今なら……理央に、酷いこと、されたいよ」
汚い言葉遣いをしたのに、それを受け入れるように優しく抱き寄せられた。
加奈子の理性だって削られているのに、まるで聖母のようだ。
ーー早くイカないと、まずい。
柚木が隣におり、下に木綿子が寝ているのに、加奈子のことを乱暴してしまう。
そう思って、理央は加奈子の口腔内をめちゃくちゃに犯すように舌を動かしながら、腹の上に精子を吐き出した。