第四十五章 「ご褒美」-1
【啓介と同居 四ヶ月目】
【20●1年4月3日 PM8:00】
その日の夜。
ダイニングで。
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ビールの泡が瞬く間に立ちあがり、コップから溢れそうになる。
慌てて口をつけて一気に飲み干す。
ゴクゴクと喉仏が上下している。
「あー、うまいっ・・・」
両目に皺を作って心の底から声を絞り出す。
開いた瞳が嬉しそうに潤んでいる。
そう、武は幸せであった。
「ふふっ・・・」
ダイニングテーブルの隣に座る妻が、嬉しそうに空になったグラスに注いでくれる。
目を合わせると、武も顔を綻ばせた。
妻が、恵がとうとう「ご褒美」をくれるのである。
今日、家を出る時に恵がはにかみながら耳打ちをしてくれた。
「口でしてもらう」のも良かったが、やはり敏感に生まれ変わった天使を貫くのは想像以上に快感だろう。
一週間以上の「お預け」の間に恵の身体は格段に魅力的になっていた。
何処がどうという訳ではないのだが、女らしさを増している。
バストも心無しか大きくなった気がした。
武は今日も一目散に家路を辿り、玄関の扉を開けた。
そこには「夕方までの恋人」からタップリと愛を注がれた後の妻がいた。
笑顔という「ご褒美」で夫を迎えてくれる。
夕食の間に時折交わす恵と義父の視線にも気づかない程、武はたぎっていた。
チラチラと送る視線は露骨な信号が含まれている。
苦笑する父は戸惑う嫁とハシャグ息子に言葉少なに「お休み」の挨拶をすると、早々に自分の棲家に引き上げるのであった。
潤んだ瞳で義父を見送る恵を抱き寄せる武は、もう待ちきれないのか昼間父と妻が愛し合ったソファーで求め始めるのであった。
「あんっ・・ダ、ダメ・・・よ。
まだ片付けが・・終わって・・いな・・・」
恵の最後のセリフを切り取るように唇を重ねてくる。
去ったばかりの義父の事を気にかけながらも、ここ数日で敏感になった身体は熱い吐息を伴って反応していくのであった。
「おほぉ・・めぐみ・・あぁ・・・」
「んふぅ・・んぐぅ・・・」
激しく舌を絡ませる夫の愛撫に心が溶けていく。
だが、Tシャツをまさぐり始められると無意識に手で押さえた。
「ま、待って・・・」
「えっ・・・?」
又、お預けを食うのかと不安そうな顔になる夫に口元を綻ばせて囁いた。