放尿場面の診察-3
医師は2人の目の前で、2本の試験管を両手に持って見せた。試験管の中には黄色っぽく濁った液体が入っていた。
「こちらが夏美さんの尿で、こっちが由衣さんの尿なんだけど……」
医師はそう言って試験管を傾けた。その動きに合わせて液体が揺れて光を反射してキラキラと光っていた。その様子を見ていた夏美と由衣は、顔から火が出るほど赤くなった。
「は、はぁ…」
夏美は小さく息を吐いた。自分たちのおしっこを見せつけられて、とても恥ずかしかった。由衣も目をそらしている。
あろうことかイケメン医師が目の前で、自分たちのおしっこが入った試験管を軽く握って振っているのだ。その動きを見ていると、まるで彼に自分たちの秘密を暴かれたような気分だった。とても恥ずかしい光景である。
「見てわかるとおり、夏美さんのは薄い目の黄色だけど、少しモヤモヤしたものが浮いているね……これは粘度が高いことを意味しているんだよ。日常生活で少しずつストレスがたまってきているようだね」
医師は試験管を指さしながら、さらりと言った。
「は、はぁ」
夏美は小さく返事をした。おしっこが自分の感情を暴露していることを思うと、恥ずかしさが倍増した。医師の目が自分の身体を見透かしているような気がした。
「由衣さんのは少し黄色が濃くて、細かな泡が浮いているよね……これは普段から興奮したりする頻度が高いことを表しているんだよ。妄想とかが好きなのかな?」
「えっ……は、はいぃ…」
由衣が口ごもったように返事をした。普段元気な由衣もさすがになんと言って反応したらいいかわからないのだろう。顔を赤らめたまま、目をそらした。
「2人のおしっこには微妙な差があるよね。匂いもちょっと違うかな…」
医師は平然として言った。そして2本の試験管の口を交互に自分の鼻に近づけて、深呼吸した。
(うう……恥ずかしいよお……)
夏美は泣きそうになっていた。人前で尿を見られるだけで、こんなに恥ずかしいんだと思った。しかも匂いまで嗅がれてしまうなんて……
「2人の尿は見たところ、特に病気の心配はないようだけど、念のためにしっかり確認してみよう」
そう言って医師は由衣のほうの試験管の中にスポイトを入れて、液を吸い上げると自分の口元に持ってきて、スポイトの先を舌で舐(ねぶ)りとった。
「きゃっ!」
由衣が思わず声を発した。夏美も(うわぁ)と思った。このイケメン医師が由衣のおしっこを舐めたのだ……
「うん……味はいたって普通のおしっこだね……」
医師はそうつぶやくと、今度は夏美の試験管の方からスポイトで液を吸い上げると、またその先端を舐めた。
(ああっ!)
夏美は心の中で悲鳴を上げた。
医師は目をつぶって、口の中でくちゃくちゃと動かして味を確かめているようだ。
夏美の目には医師が陶酔しているように見えた。
「うん……これも普通の味だね……由衣さんのよりしょっぱいかな……」
「は、はぁ……」
(うわぁ……もう……なに? これ??)
夏美はもう呆然としていた。こんな検査をされるなんて思っていなかった。恥ずかしさの度を超えて、もう何が何だか、わけがわからなくなっていた。
由衣も真っ赤な顔をして、じっと医師を見ている。
医師はしばらく口の中で味を確かめていたが、やがて2人の方に向き直った。
「大丈夫……2人とも異常なし。これで全ての検査完了だ。服を着て教室の方に戻ってもらっていいよ」
「は、はぁ…」
夏美も由衣も恥ずかしいながらも、これで終わると思ってホッとした表情を浮かべた。医師は間を置いて、優しそうな顔で付け加えた。
「2人ともよく我慢したね。とっても恥ずかしい思いをさせてごめんね」
「い、いえ……」
「いえ……大丈夫です……」
2人とも顔を真っ赤にして答えた。もはや、頭の中は真っ白に燃え尽きた気分だった。
その後2人が服を着て検査室を出ると、順番を待っていた他の女生徒たちが集まってきて2人を囲んだ。夏美は顔を赤くして目をそらしたが、由衣はにこやかにみんなに話しかけた。
「ねえねえ!どんな検査だった?」
「どんなお医者さん? かっこいい先生?」
みんな口々に聞いてくる。夏美は恥ずかしくて答えるどころではなかったが、由衣は立ち直りが早いのか、昔から病院ごっこなどが大好きだったせいか、意外と元気ににっこり笑って答えたのだった。
「うん、優しそうな若い先生だったよ。すごいイケメンだよ。白衣がよく似合ってた」
その由衣の言葉を聞いて、周りの女生徒たちは沸いた。
「きゃー! すごい! ラッキーだねー!」
「イケメンだってー! 恥ずかしいなー! どんなことされたの?」
「ねーねー、あたしに先に行かせてー! あたしもイケメン先生に診てもらいたい!」
みんなが騒ぎ出して収拾のつかない状態となった。夏美は耳まで真っ赤になって、由衣の手を引いて逃げ出したい気分だった。
「静かになさい!」
保険医の先生が厳しい声で一括した。急に辺りはし−んとなった。先生は眉をひそめて、夏美と由衣に手招きした。
「こっちに来なさい」
夏美は複雑な思いで、楽しそうな表情のクラスメートたちを見ながら、由衣とともに保健室を出て教室に向かった。夏美も由衣も不自然に顔を紅潮させていたせいか保険医の先生は何か言いたげだったが、特に何も言わなかった。