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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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再会-2

「いいなぁ。なんか憧れちゃいます。楓さん、Eくんが初めての人でしょう? その人と結ばれて赤ちゃん産んで幸せな家庭を築いて……」
「でも色々あったんだよー? Eくんとも」
「そうなんですか?」
「卒業後いちど別れて、それぞれ別の人と付き合ったりもしたし……」
 ガタ――ッ!
「ちょっとなぁに、ゆきちゃん! そんな身を乗り出して! やだ、目がランランと輝きすぎ!」
「それ! そういう話、もっと聞きたいです! どんな人と付き合ってたんですか?」
「もぉー、ゆきちゃんたら……さっきまでしおらしく『申し訳なかったです……シュン』とか言ってたくせにぃ……」
「まぁまぁ。で、どうなんですか? 付き合った人数は? 期間は? Eさんと比べてどうでした?」
「この子昔より遠慮がなくなってるわ。変わってしまったのね」

 カフェの一角で盛り上がるゆきと楓。
 アラフォーとは思えぬ若さと美貌を持つ二人の笑顔がはじける。撮影でプロのメイクとスタイリストが入ったこともあり彼女らの容姿はひときわ周囲に異彩を放っていた。夏のビーチで語り合ったあの日と同じように、行き交う男たちが皆、二人の美魔女へ視線を送る。

  *

「ふぅー。まさかこの歳で恋バナに花を咲かせるとは思ってもみなかったわ」
「あーお腹いっぱい。まさかあの楓さんが数多の男性と浮名を流すなんて、ウフフ。でも結局最後はEさんへの惚気で終わっちゃうんですね。ごちそうさまでした」
「勝手に満腹にならないでよ。さ、今度はゆきちゃんのお話をいただこうかしら」
「私は別に……」
「恋多きゆき先輩ですもの。おほほ」
「先輩とかやめてください」
「恋愛に関しては先輩ですからー。いろいろと小耳には挟んでますわよ? バイト先で知り合った人のこととか、社会人彼氏のこととか、毎日BMWで学校送迎してもらってたお金持ちおじさんとか……」
「あー、それぜんぶ同じ人です」
「あら、そうなの」
「さんざん言われたなー。援交だの愛人だの、今風に言うならパパ活ですか。送迎だってお泊りデートの翌日に数回送ってもらっただけですよ。まさか楓さんまで変な噂信じてたんですか?」
「いや、あの……」
「ひどいですー! 私のことどんな女だと思ってたんですか?! そもそもその人は七つ上の社会人でしたけどおじさんて歳でもなかったです!」
「噂なんて信じてたわけじゃないけど……ほら! 心配してたのよ、心配!」
「モノは言いようですねー。別にいいですけど……。あ! そうだ!」
「ん?」
「その人の名前ね、Fさんて言うんです」
「それがどうしたの?」
「E通堂のFさんなんです!」
「えーー! 美魔女の?」
「びっくりでしょう? 去年うちのプロジェクトをE通さんにお願いすることになったんです。それで出てきた担当者がFさん!」
「あなたたち……裏で繋がってたのね?」
「偶然です! また変な憶測呼ぶような言い方しないでください!」

 ゆきはFについて話をした。あのあと夫と出会うまで真剣交際したのは彼一人だったこと、結婚も考えるほどの付き合いだったこと、価値観の相違で別れたこと、十五年ぶりに再会しA社とE通堂の付き合いもあり半ば社命で美魔女にエントリーしたこと。

「へぇ。素敵な恋愛してたんだね。さっきは恋多きなんてふざけて言ったけど、ゆきちゃん基本的には一途よね」
「わかってもらえましたか? 変な噂信じちゃだめですよ?」
「あれ? でも真剣交際が一人ってことは真剣じゃない交際もあったってことよね?」
「そ……それは言葉の綾で……そんなことないですけど……」
「おほほ。嘘がつけないのね。ほら、言っちゃいなさいよ? 私とゆきちゃんの仲でしょう?」
「ぁ……う……」

 楓にしつこく突っ込まれた末、高校時代の元彼Cやバイト先の同僚I、合コンで知り合ったGにほんの少し寄り道したことまで、白状させられた。

「あーもう! こんなに話したの楓さんが初めてです」
「前言撤回だわ。やっぱりゆきちゃん『恋多き女』ねー、うふふ」
「で……でも! 重なってる期間はありませんからね? そこははっきり言わせてください!」
「わかってるってー、あはは。ん……? あれ、でもFさんと別れたのが社会人一年目の一月でしょう? 今の旦那さんとはその後デートし始めて告白されたのが三月のホワイトデー。でもその間、Gくんとも二ヶ月以上続いてた……。ギチギチすぎるというか、どうなの? 実際これ重なってる期間、すこーしくらいあるんじゃね?」
 ジャーナリストならではの事実関係への追求にしどろもどろになるゆき。
「相変わらずわかりやすい子! 大好きよ、ゆきちゃん!」
「わ、私も細かいことは覚えてないので……いいじゃないですか、その辺は……!」
「うふふふふ。旦那さんに言っちゃおうかしら」
「残念でした。旦那はFくんやGくんとのことは知ってますから」
「あら、意外とオープンなのね。Iくん、Cくんのことも?」
「それはまあ……旦那と出会う前のことなので別に……」
「さすがに過去セフレが数名いましたーはまずいですわよね?」
「セ、セフレって……そんなんじゃ」
「世間ではそういう関係をセフレって言うんですよ、先輩」
「うぅ……楓さんだけは絶対旦那には会わせられないわ」
「そういえば今度美魔女の件でJポスさんから取材依頼が来てたような……」
「断ってください!」

 楓に乗せられついペラペラとしゃべってしまったが、不思議と悪い気持ちはしなかった。学生時代と同じだなと、またゆきは懐かしくなった。
 それはそれとして夫の話は早々に切り上げたい。
 夫とは、実はもう離婚を前提として別居している。
 書類手続きはこれからだが、とにかく今はまだ人に話せる状況ではない。


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