昔の男との邂逅A-1
*
加奈子の風呂上がり、髪を乾かした加奈子が、ダイニングテーブルで水を飲んで一息ついていると、引き戸が開く。
とぼとぼと、理央がやってきた。
(また……やっちゃった)
ーー何に怒ってるか知らないけど、こうでもしないと、収まらないでしょ?
加奈子が理央の態度に身を任せて、避妊を拒否したのかと思うと、苦しかった。
理央は備え付けの長椅子に座る加奈子の横に座る。
「話、する? 今日、どうしたの」
「ごめん……なさい」
「今日のことは謝っても許さない。家で、ああなるの二回目でしょう。あたしが許すと思って乱暴に扱うなら、許せないよ。だけど、わざわざ早退してまで何でそんなことしたのか教えて」
「ぅ、う……。元彼とヨリ戻すんじゃないかとか……思って……。加奈子、僕より……あの人の方がいいから……だから、今日家帰ったんじゃないかとか」
加奈子は目を見開く。
木綿子との廊下での会話を聞かれた方が良かったのかもしれない。
加奈子は理央の左肩をゆっくりと指先で撫でた。
「あたしの気持ちが沈んだのは、柚木の父親の倉田がーー今の生活があるのに、もし自分に子供がいるって知ったら、動揺させるだろうと思ったから。それだけ。
とても優しい人だったから。子供がいるなんて知って、自分が十年以上何も知らなかったこととか、支援できなかったこととか、責任感じるタイプの人。ーー復縁する気もなかったし、だから会社やめたの」
「ーーご、ごめん」
「だから、謝っても許さない。倉田が急に現れて、理央以外と寝たくないってこと、あたしに言わせたくて、あんなことしたんでしょ? ダメよ、そんなの」
「……ごめん、なさい」
四十になろうとする男が、泣きそうになりながら、加奈子にしがみついた。
加奈子は背中を撫でる。
「何で理央が泣きそうになるのよ〜。あたし、倉田が現れて動揺してるところに、理央に無理やりされたんですけど?」
ふふっ、と笑って、ふわふわの猫っ毛の髪の毛を触った。
「今日も言ったけど、……あんな酷いことしなくても、何回聞かれても理央と以外嫌って言うよ。理央だって後悔するなら、あんなことしないで。ーー乱暴されたって、あんなに感じちゃうのに。それなら乱暴されるより、楽しくしたい。ダメ?」
「ダメじゃない……」
加奈子は理央の髪の毛から右手をずらし、背中を撫でる。
そして、左手は理央の太ももを撫でると、じょじょにずらしながらハーフパンツの上からそれを揉み込む。
はあっ、と加奈子が吐息を漏らした。
「すぐ固くなっちゃうのね」
加奈子が甘い吐息を吐きながら、理央の左耳元で囁く。
「か、加奈子……何で、そんなえっちな……うぅ」
「言って欲しいくせに。百戦錬磨の佐藤くん」
目を潤ませて、理央は加奈子を見ると柔らかな体を引き寄せる。
そして加奈子の唇を奪う。
ハーフパンツ越しに固くなったそれを優しく愛撫されながら、キスをしていると、ずくずくと、ソコに血液が集中していく。