昔の男との邂逅A-3
「加奈子、こま……る、こんな……」
はあ、はあ、と息も絶え絶えに、理央は訴える。
メガネ越しに覗く視線も、加奈子の舌も、とても優しい。
なのに、ひどく卑猥な気分にさせられる。
この口に、たっぷりと自身の体液を注ぎ込みたくなる。
「困るって、なあに」
「ーー僕の汚い精子で、汚してやりたいって思っちゃう」
「どうして汚いなんて言うの。汚くないでしょ」
加奈子は右手で肉棒を支え、左手で睾丸に触れると、たっぷりと唾液を含ませた舌で肉棒をなぞりあげる。
そして、肉棒にくまなくキスを落とす。
テクニカルに絶頂に導こうとするのではなく、理央のそれを慈しむように、だ。
「理央のだからしたいって思うのに。ここから出るものも汚いわけないでしょ」
「は、ぁ、そんな……」
加奈子を傷つけかねない、自身のそれをこんなにも大事に扱ってくれる。
「だから、咥えさせて」
亀頭に舌を這わせ、一気に喉の奥まで咥え込む。
「ん、……加奈子……っ」
小さな口の中で、入り切るギリギリまで頬張っている。
じゅるっ、じゅぷ……っという粘着質で、卑猥な音。
(今日、したのに……もっと欲しくなっちゃうよ)
加奈子はそう思いながら、音を立てて吸い上げ、サラサラと落ちてくる髪の毛を耳にかけながら顔を動かす。
唾液でぬるぬるとした肉棒を、吸い上げながら指で優しくしごいていく。
ちゅぽん、と音を立てて一旦口の中からそれを抜くと、舌先で亀頭を舐め、さらには舌の腹でエラの張った場所を丁寧に舐め上げる。
「理央の、美味しい。大好き」
そう言われて思わず、理央は加奈子の頭を撫でる。
髪の毛に指を通し、引っかからないようなサラサラの髪の毛を、耳の横にかけてやる。
綺麗な形をした耳を中指で思わず触れると、びくん、と加奈子の体が震える。
伏せた瞼がゆっくりと開いて、瞳が理央を見つめた。
*
翌日。
加奈子が昨日午後休を取ったことによって、明日の会議の資料作りが終わっていなかった。
理央に柚木のことを頼み、残業していた。
「終わった……眠い……」
時刻を確認すると、二十一時。
周りに社員は誰もいなくなっている。
手を上に伸ばし、背中を伸ばすと、デスクに置いているスマートフォンが振動した。
着信だった。相手は「佐藤理央」。
「佐藤くん? どうしたの?」
周りに誰もいないとはいえ、会社なので「佐藤くん」と加奈子は呼んだ。
「仕事終わった? 終わってたら眠いだろうから迎えに行こうかと」
「ん。ちょうど終わったところ」
「じゃあ迎えいく。待ってて」
マグカップを洗い、廊下を出たところにある更衣室から上着や荷物を持ってきて、デスクに戻ろうとすると、私服の理央が自席に座っていた。