妻を他人に (12) さようなら-4
「あぁん……だから待ってって言ったのにぃ……」
「ゆき……これは……?」
「Zくんにいっぱいつけられちゃった。シャワーのあと鏡見てびっくりしちゃった……」
「首筋にまで……会社にキスマークつけて行くの?」
「ひどいよね……ファンデーションで隠せるかなぁ……」
よくみると股間の両脇、太ももの付け根にもいくつかつけられている。
「ゆき……! たまらないよ……!」
「ぁあんっ……んっ……んんっ……ぁああ」
「おっぱいに他の男のキスマークいっぱいつけて帰ってきた奥さん……エッチすぎる!」
「んんんぁあ……ぁあ……見ないでぇ……ぁんっ」
ゆきは胸を隠そうとするが、私はその手を払い除け同じ場所にキスをする。
「旦那さんのキスマークならいいよね?」
「いいの……? んん……」
「夫婦ならセックスするのは当たり前」
「そっか……恥ずかしいことじゃないよね」
「うん。全部旦那さんのキスマークで上書きしてあげる。んん……チュゥ……」
「ありがとう……んふふ……くすぐったい……んぁ……ぁあん」
身体中にセックスの刻印を刻まれまんこをガバガバにされて返ってきた妻に、二度目で持久力が高まったペニスの抜き挿しを繰り返す。ゆきも緩マンが少し改善され反応が良くなった。清楚な美人妻が顔を歪ませ吐息を粗くする姿のなんといやらしいことか。
「ここにもキスマークつけられるかな?」
気持ちの昂った私は、妻の唇にキスをしようと顔を寄せる。
「ぁんっ……お口はだめ……」
思わぬ力で、妻は私の体を押し返した。
「え? なんで……?」
「なんでも」
「ゆきは俺のことが嫌いなの?」
「あぁん、そうじゃないよぉ……でもキスはとにかくだめなの……」
気まずそうにもじもじする妻を見て、ピンときた。
「わかった。あれだろ? Zのチンポを……」
「……言わないで!」
やっぱり。フェラチオした口で夫とキスをしたくないらしい。やっぱり今日のゆきはいじらしい。可愛い。興奮してしまう。
「言う」、「だめ。言ったら嫌いになる」、「じゃあ自分で言って」。困っている。もっと困らせたい。「言わないなら俺が言うぞ。ゆきはさっき口でZのチンポを……」、「あーーだめ! わかった、わかりました言います! あれ? ホントに言うの? 私……」、「くくく……どっちなんだよ」、「どっちもやだ」、「じゃあ俺が決めてあげようか?」、「どうしてそうなるの?」、「俺は……やっぱりゆきの口から聞きたい。俺とのキスを嫌がる理由……」、「もう……」、「きっと興奮しちゃってゆきのこともっと愛しちゃうと思う」、「調子がいいなあ」――。
言わせたい。聞きたい。
「お願いします。さあ教えて。なぜ旦那さんとキスしたくないの?」
「パパをたぶん悲しませちゃう。いいの?」
「いいよ」
「どうなってもゆき知らないからね?」
「大丈夫大丈夫」
「もう…………」
「さあ」
「…………」
「早く」
「……Zくんのを……お口でしちゃったから、です……」
「うぅゆきぃ……辛い……辛いよぉ……!」
「ほらぁーやっぱり大丈夫じゃない……ぁあん……っ……ちょっと? パパ?……ぁふぅんっ……ぁあんっ……ぁんっ……」
言葉とは裏腹に股間はそそり勃ち、腰を激しく動かしてしまう。キスマークを見られないよう胸元を隠し、キスされないよう背中を向けていたゆき。今もまた私にしがみつくことで上手に「キス避け」しながら快感を受け止めている。
「ゆき……!」
「ぁあんっ……ん、んん……寝室に聞こえてたの? ゆきがしてる音……」
「うん。なんとなく雰囲気で。だってゆきの喘ぎ声が止んでるのにピチャピチャジュルジュルいってるからさ」
「……ん、ふぅ……ぁんっ……ぁんっ……ぁんっ」
「あむあむ言って何か頬張ってるような声もキツかった……」
「……すみませんでした…………ぁんっ……ぁんっ……ぁふぅんっ」
「もっとあやまって」
「すみませんでした……んんっ……ごめんなさい……」
「『ゆきはZくんのおちんちんをフェラチオしてしまいました。ごめんなさい』でしょ?」
ドサクサに紛れ、ゆきの前で「フェラチオ」という言葉をはじめて使って見る。
「んん……恥ずかしいょ……」
「反省してないの? 旦那さんに悪いと思ってないの?」
「思ってるよぉ……ぁんっ……ねぇ、気持ちいい……そこ……ぁあっ」
「言わないとやめちゃう」
「いじわるぅ……ぁんぁああ……っ言います……ちゃんと言うからぁ……」
「…………」
「ゆ、ゆきは今日……Zくんのおちんちんを……フェ、フェラ……フェラチオ……してしまいました……ごめんなさい……ぁんっ……ぁんっ……恥ずかしいよぉ」
「ゆき……! ゆきがフェラチオしちゃったなんて……ゆきの口からフェラチオなんて! 興奮するっ……やばい……!」
「パパぁ……ごめんなさい……ぁああんっ」
私たち夫婦の禁断の言葉まで言わせてしまった。美人妻の「フェラチオ」発言は想像以上の破壊力。
私たちはしばし無言で夫婦の濃密な結合に集中した。
「それでゆき、どうするの? このままじゃ俺たち夫婦、一生キスできないよ?」
「そ、そういうわけじゃ……」
「そもそも前回もフェラしたんだからもういいじゃん」
「ちょ……な……もう! Zくんから聞いたの?」
「してないって嘘ついてたよな、ゆき」
「ご、ごめんなさい……恥ずかしくて、あと罪悪感で言えなかったです……んっ……ふぅん……っ」
「いいよ。なんだか色っぽい嘘で興奮しちゃった」
「んん、ぁん……ネットに書いてあった。寝取られくんは奥さんに嘘つかれて興奮する奇行種もいるって……パパも奇行種だったのね」
「けっこう多数派だと思うぞ」
「そんなことないもん……こんな変態さん……ぁんっ……ぁんっ……ぁんっ」