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愛する故に second
【元彼 官能小説】

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愛する故に second-1

「いるはずないよね…
もぅ馬鹿だなぁ!考え過ぎ。」
恵里は自分を落ち着かせる様に呟く。
『あの日』からまだ1週間しか経っていない。
正佳に似た感じの人を見るとつい警戒してしまう。
「ふぅ…似てるだけよね」
軽く頭を振り歩き出した。

「恵里ちゃん!」
夏海が勢いよく店に入って来た。
「なっちゃん!久しぶり。よくここに居るってわかったね!」
「ちょっと!帰って来てんなら連絡せんね!店長から聞いて慌てて来たが。」
故郷の心地よい訛りが響く。
「まぁまぁ…。
まだ帰って来たばっかりよ。連絡しようと思ってたとこて。」
恵里も自然に故郷の言葉になる。
「今日は朝まで飲むぞ〜!」

上京するまで、あししげく通っていた店で久しぶりに心が癒されるのを感じた。
「そういえばまだしてんの?フ・リ・ン!」
夏海は、面白がっている様に見えた。
「もうやめたよ…」

「え??でも正佳さんと一緒に帰って来てるっちゃないと?」
恵里は、夏海の言葉に凍り付いた。
「ど…いうこと?」
「だって…正佳さんが…」
夏海は訳が分からず不思議そうに言う。
「来たの?」
「電話やけど…喧嘩してホテルを出て行ったから…居場所わかったら教えてって」
恵里の表情がみるみる険しくなっていく。
「それで…今日ここにいるって…言ったと?」
「うん…来る前に電話したけど…」
夏海は怖々と答えた。
「そんな…」
恵里は慌てて席を立つ。
「ごめん!また連絡するわ。」
夏海にそれだけ言うと、店を飛び出しホテルへ急いだ。
(どうしてこんな田舎まで追って来るの?見つかったらまた…)
頭の中があの日の事でいっぱいになる。
ホテルが見えて少し落ち着き、歩くスピードを落した。
「ここまで来ればもぅ大丈夫でしょ。」

恵里はまだ…気付いていなかった。

急ぎすぎて、一度も後ろを確認しなかったのだ。

「やっと見つけた。」
恵里の部屋を確認して、ニヤリと笑う。
「今日はゆっくり寝せてやるよ。」
そう言って、部屋の前からいなくなった……。


―翌朝―
恵里は朝食をとる為にレストランに向かった。
昨日の出来事を踏まえて隅の、人目に付きにくいテーブルに座る。
食事をしていると、誰かが目の前に座ってきた。
「??」
「よぉ!」
「やっ……!!!まさよし…な…なんでっ」
目の前には満面の笑みを浮かべた正佳が座っている。
「探したぞ〜いきなり居なくなったらダメじゃないか。」
正佳は子供に語りかける様に言う。
恵里は、正佳の声が恐ろしく冷たく感じられ怖くて俯いていた。


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