『beat mania UDX』より不夜城の仲間たち〜鉄火-5
『ふふっ、ぬいぐるみと一緒に休んでたの?』
「いやこいつは……」
『俺の名前はファーボだ。ぬいぐるみじゃない!』
ファーボがセリカに声を出すと、セリカはかなり驚いていたが、鉄火が説明するとなんの疑いもなくファーボの存在を認めた。
ファーボの存在を簡単に認めるあたり、なかなかこの女の子は天然なのかもしれない。
鉄火とセリカはその場で他愛もないことを話し始めた。
いつのまにかファーボがいないことに鉄火は気付いた。
(おせっかい野郎が)
そんなファーボの気持ちに甘え、鉄火はセリカと二人きりの時間を過ごした。
『鉄火くんて好きな人いるの?』
「えっ!?」
話も終わりに近づいた頃、不意にセリカは鉄火に問いかけた。
「い、います……」
『へぇ!?いるんだぁ!鉄火くんかっこいいもんねえ!で、誰?』
「それは言えませんよ。セリカさんは?」
『え……』
逆に鉄火に切り返されると、セリカは顔を赤らめながらしどろもどろになった。
『あの、えと…うぅ……』
「いや、言いづらいなら別に……」
セリカの悩む顔も可愛いと思ったが、セリカの顔は途端に明るくなった。
『セリカ。主役のお前がおらんでどうするんや!さ、戻ろ。鉄火もな』
ユーズがセリカたちの前に現れたのだ。
その時のセリカの顔を見て、鉄火は全てを理解した。
ああ、この人だったんだ。
「すいません、俺そろそろ戻ります」
『なんや、もうちょっといてほしかったんやがなぁ』
『帰っちゃうの?鉄火くん』
「ええ、すいませんが。じゃあ失礼します!」
鉄火はそう言うと、店を出ていった。
店の外でしばらく待っていると、やがてファーボがやってきた。
ファーボを肩に乗せて鉄火は原チャリを走らせた。