『beat mania UDX』より不夜城の仲間たち〜鉄火-4
奥にある従業員室へと入ると、中には沢山の食べ物と飲み物、そして仲間たちが待っていた。
識にユーズ、孔雀にサイレン。理々奈に彩葉。そして……。
『初めまして、私はセリカ。よろしくね鉄火くん』
「あ、はい……」
鉄火はしどろもどろになりながら、孔雀の方を見やった。孔雀はニヤリと一つ笑うと、識にパーティー開始を促した。
『他のメンバーは都合により来れませんでしたが、遅ればせながら、セリカちゃんの大学入学祝いをしたいと思います!』
識の一声で、狭い従業員室でアットホームなパーティーが始まった。
ユーズは一人「六甲おろし」を大熱唱し、孔雀とイロハはユーズの歌いっぷりに大爆笑。
理々奈はサイレンと二人でなんだかいい感じで、鉄火はセリカと識とで談笑していた。
最初こそ、緊張で上手くセリカと話せなかったものの、今はだいぶ慣れてきた。
孔雀は横目でそんな鉄火を微笑ましく見ていた。
鉄火は一人部屋を出ると、廊下にあるベンチに座り一息をつく。
ファーボも鉄火と同様に肩から飛び降りると、鉄火の横に座り直した。
『鉄火、顔赤いぞ』
「わかってるよ」
鉄火は胸に手を当てると、目を閉じた。
物凄くはやく胸が鼓動を打っている。
「やべぇ……かわいい」
鉄火とファーボがベンチで休んでいると、従業員室からセリカが出てきた。
『鉄火くん、どうしたの?具合悪いの?』
「あ、いや……」
腰をかがめて下から上目づかいに見てくるセリカを見ると、自分の顔が真っ赤になるのがわかった。
「どうしてここに?」
『孔雀が教えてくれたの。様子を見てきてくれって』
「あの人は……」
孔雀の心遣いに多少迷惑したものの、同時にありがたさも感じていた。