2度目の訪問-1
「 今夜も 行くからな 」
金曜日 退社しようとした 拓哉を森が呼び止め
厚い唇を歪め 好色な目で言って来る
何も言い返せない 拓哉は項垂れ 携帯を取り出すと
麻衣に 部長を連れて帰ると 連絡を入れ 携帯の向こうで
麻衣が息を飲み 少しの沈黙の後 明るい声で
「 何か 美味しい物作っておくね 」
声が聞こえて来た
執務室の森は電話を掛け 書類に目を通して 印鑑を押し
内線で 社員を呼び出して指示を与えと 奮闘する姿を
拓哉は 机に座り待ち続けて居た
180センチの 肥満して歩く巨体を
ーーー大黒様ーーー
森のニックネームだった
大黒様の様な 大きな腹と 笑みを浮かべた顔を
大きな足が踏みつぶしたような 歪んだ顔に
厚い唇と 大きな潰れた顔が 50を過ぎても
独身なのを 皆が納得していた
朝礼暮改は当たり前 気に入らないと 平気で
地方へ飛ばしてしまう ワンマンな体質も
社長へ取り入り 社長の前では 借りて来た猫の様な姿に
・・・デビル 大黒・・・
社内では 公然と呼ばれ 女子社員は 森の席に近寄るのを
回避しようと 仕事の中で根回しする事が多く
どうしても 必要な書類の時 他の女子社員が ここぞと
押しつけて 婆抜きゲームと社員の娯楽に 成っていた
森が 手の空いている時に 女子社員を見る目は
まるで制服の下の 裸を見る様に ねっとりと視線を運ぶことで
女子社員が 給湯室で 今日見られたのと
愚痴を溢す事も日課と成っていた
森が酒屋で 赤ワインを3本買い込むと
「 行こうか 」
拓哉を促して マンションの部屋へと入って行った
先週と同じ 白いワンピースで 森を笑顔で迎えた麻衣は
「 有難う御座います 」
ワインをテーブルに置きグラスを用意して
森の横に座ると ワインを注ぐ
拓哉は注がれたワインを 半分ほど飲んで
テーブルにグラスを置いた時
「 ごめんなさい 」
麻衣が立ちあがると トイレに消え戻ると
黙って 森の横に座り 森は嬉しそうに
ワインを飲み干して
「 奥さんは綺麗だね 」 好色な目で麻衣を見て
「 処で 川田君 頼みが有るんだが 」
麻衣の手が 震えながらワインを注ぐのを見て
麻衣を見ると顔が赤く成り
森の右手は 降ろされて 微かに動くのを見た
「 来週から 土曜日曜の二日だけで良いから
奥さんに 俺のマンションの
掃除を頼めないかな ご夫婦の 誠意で どうだろう 」
拓哉は目を見開き 森を見た時
・・・あっ・・・
麻衣が小さく喘ぎを上げ 顔を見ると目を閉じて体が震えていた
・・・くちゅ・・・・くちゅ・・・・
テーブルの向こうから 小さな水音が聞こえ
・・・うっ・・・ 麻衣が両手で口を押えて 目を固く閉じている
森の右腕の動きが早く成り
・・・ああーーー・・・
麻衣がついに 大きな声を上げると 体を硬直させるのを見て
拓哉は 俯いて
「 麻衣が 良いと言えば 」
歯を食いしばり 小さく 呟いていた