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妻を他人に
【熟女/人妻 官能小説】

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妻を他人に (8) ごめんなさい-1

「ごめんなさい……」

 夫の腕に抱かれ、涙を流した。
 なぜ涙が出てきたのか、自分でもよくわからない。
 はっきりしているのは、こんなはずではなかったという後悔の念。

 するかしないかあやふやなまま今日を迎えた。
 朝、下着をわざわざ真新しいものに穿き替え、ふと冷静になる自分がいた。この着替えは、なんのため? 可愛らしいショーツを手に取り、もう少し大人っぽいものがいいかと思案し、しかしこっちはセクシー過ぎるなどと何を逡巡しているのだろう。下半身を念入りにケアした。なぜ? 股間の茂みに手を伸ばし花びらに軽く指先をこすりつけ、その匂いを嗅いでみる。私は今、なんの確認をしているの?
 今日私は、女性としての自尊心のいくばくかを差し出し、人妻としての尊厳を犠牲にし、男たちの性欲を満たすためだけの存在になるかもしれない。そのことを考えずにはいられなかった。夫はどこまでも優しい。Zもいい人なのだろう。しかし彼らが爛れた欲望のため、ゆきの「女性性」を弄ぼうとしていることに変わりはない。

 もちろんすべては夫のため、覚悟して自分で決めたこと。
 それはいい。いや、いいのかどうかわからないが、それよりゆきを戸惑わせたのは、行為中の自身の身体の反応だった。

 本当はただ流されるままにZに抱かれ、心を無にして不本意な行為をやり過ごすはずだった。そうして夫の願いを叶えてやり、感謝され、嫉妬され、Zが帰ったあとには夫に激しく愛してもらおう。そう考えていた。
 なのにZに幾度となくイかされてしまった。少しずつ性欲に支配され気持ちよくなっていく自らの身体にうろたえつつ、いつしか彼とのセックスに夢中になってしまった。恥ずかしい声が自然と漏れ出し、愛液が溢れ股間を濡らした。

 Zの手が服の中に侵入してきたときから、ゆきは狂わされてしまった。女性の大切な場所を触ってくる異性のごつごつした指の感触を数年ぶりに味わった。彼の指は、ゆきの心の奥深くに眠っていた何かに触れた気がした。いつまでもリビングに留まり続ける夫に「早くどっか行って!」と反射的に叫んでしまったのは見られるのが恥ずかしかったから? 果たしてそれだけだろうか。

 クリトリスを、花びらを、自分でするのとは違うタッチで撫でられ、捲られた。花芯に指を挿し込まれた。夫に内緒で不倫に溺れた数年間を経て、今は夫以外との性行為など望まぬ自分になれたと思っていたのに、愛する人と穏やかで愛に溢れた夫婦生活を送る自分が大好きだったのに、そんな「理想の自分」はわずか数分間で瓦解し、愛撫が終わるころにはもうゆきの心も身体も、目の前のこの男にペニスを挿入してもらうことしか考えられなくなっていた。

  *

 夫がゆきを抱きしめたまま優しく声をかける。

「謝らないで、ゆき。大丈夫だよ。俺のために無理してくれたんだよね……ありがとう」
「……………………」

 ごめんなさい。無理なんてしてないです。

 ソファに仰向けにされた私は、Zに促されるままに、まるで産まれたての赤ん坊のように脚を大きく開いた。
 不思議な気分だった。なぜ私は恥ずかしさを乗り越え股を開き、自分の大切な場所を晒しているのだろう。いよいよペニスをその場所にあてがわれた。なぜ初めて会う男の人のおちんちんが、私のおまんこと密着し、キスしているのだろう。

 その状態のまま、クリトリスと花びらを亀頭で何度も擦られ、圧迫された。熱くて、硬かった。先端をぐいと押し付けられただけで、夫のものとまるで異なる大きさが伝わってきてドキドキした。腰をくねらせたくなった。こんなおちんちんを挿れられたら、私はどうなってしまうのだろう。お尻を持ち上げ挿入を促してしまいそうになる自分を必死で抑えた。人妻として自分から求めることだけはしてはいけないと思った。
 でも結局、「挿れるよ?」というZの最終確認には、一も二もなく頷いてしまった。せめて心までは持っていかれぬよう、目をそらし、顔をそむけた。そのくらいの抵抗しかできぬほど、「それ」を待ち望んでしまっていた。
 Zのペニスが膣に侵入してきた瞬間、ゆきの理性は崩壊した。

「ごめんなさい……」

 夫の胸の中で、謝罪の言葉が空虚に響く。
 いまさらどれだけごめんなさいしたって無駄。夫には聞かせられない、聞かれたくない声がたくさん出てしまった。

「ゆきに辛い思い、させちゃったんだよね」

 まだこんなこと言ってる。のんきな人。

「私、辛い思いしてたと思う?」
「え?」

 私があなたの願いを受け入れZくんに抱かれたのは、あなたへの贖罪の気持ちがあったから。でも結局、さらに罪を重ねてしまった気がする。

「声……聞こえてたんでしょ……?」
「……うん……聞こえた」
「私、辛そうだった?」
「……いや、辛そうじゃ、なかった……」
「そうでしょ? だからやっぱり……ごめんなさい……」
「そんな……」
「私ね……声出しちゃいけない、パパに聞かれちゃいけないって思ってたのに、できなかった……」
「仕方ないよ。だって……気持ちよかったんでしょ……?」

 そうだよ。
 でもね。たぶん、パパが思うよりずっとずっと気持ちよかったよ。ごめんね。

「怒ってないの?」
「怒ってないよ」
「怒って」
「怒れないよ」
「なんで?」
「す、すごく……興奮したから……」

 素直な夫の言葉に、ゆきはふふと小さく笑った。きっと本音なのだろう。


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