desire or not?(秋良と美冬・2)-3
「……別に。どうせ子供っぽいやつなんじゃねぇのかなぁと思って」
からかうように笑いながら言うと、美冬は、むう、と頬を膨らませた。 俺は気にせず、大きく伸びをして、布団から起き出そうとする。
と。次の瞬間。背中に、ぽすんっと柔らかい感触がぶつかってきた。
「あ、あのねっ」
美冬の声が、その呼気といっしょに俺の耳に届く。
ぞくりとした。
背中に、柔らかい塊が押しつけられている。
「……いつか、見て、驚いたって知らないんだからねっ」
俺はばくばく脈打つ心臓を抑え込んで、平静を装い、ゆるりと首をまわして美冬の顔を見た。
目が合うと、美冬は耳まで真っ赤になりながら俺から身体を離して立ち上がり、隣の部屋へ駆け込んでぴしゃりと襖を閉めてしまった。
俺は美冬のそんな態度が可笑しくて、笑いが零れそうになるのを必死で堪える。夢のなかの美冬の大人っぽさには、現実のあいつはかなり程遠いみたいだ。
でもまあ、胸の大きさは、夢で見たとおりだったかなぁ、なんて不謹慎なことを思いながら。俺は今日の日曜日を、美冬と何をして過ごそうかと、立ち上がった。
終