第二十七章 禁断の味-1
【啓介と同居 四ヶ月目】
【20●1年4月2日 AM11:30】
リビングで。
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「ふぅ・・ん・・・」
重なった唇の隙間から吐息が漏れていく。
「うふぅ・・・むぅ・・ふぅ・・・」
二人の息は溶けあうように一つになっていた。
(あぁ・・お義父・・・さ・・ん)
「ぐぅ・・ん・・・うぅ・・ん・・・」
欲望のなすがままに互いを味わっていく。
嵐の中、二人きり。
邪魔するものは何一つ無いのだ。
(恵、めぐ・・み・・・)
禁じていた想いを解き放ち、思う存分天使を味合う歓びに啓介は浸っていた。
恵の柔らかな唇の感触を確かめるように舌で、唇でその輪郭をなぞる。
(うま・・い・・・さ、最高や・・・)
啓介は唇を放し、顔を少し遠ざけた。
目の前の美しい天使の顔をじっくり眺めてみたかったのだ。
「恵、めぐ・・み・・・」
「お義父・・・さ・・ん」
呼び合う名が心に火をつける。
遂に禁断の果実を口にしたのだ。
沸き上がる欲情に啓介は再び唇を重ねた。
「むぅ・・・ふぅ・・ぐぅ・・んん」
激しく貪るように味わっていく。
(ああ・・す、すご・・い、私・・・
キス・・・して・・いる・・・
お義父・・・さん・・と・・・)
恵も義父の存在を確かめるように、ギュッと両腕で背中を抱きしめている。
「あぁ・・ふぅ・・ん・・・
お義父さん・・・
好きっ・・好きだったの・・・」
恵が小さな舌を差し入れる。
義父の唇がそれを強く吸い取っていく。
タバコの味がした。
あんなにイヤな匂いであったのに。
今はこんなにも愛おしい。
恵は思いきり息を吸い込むと、甘い吐息を吹き返した。
「おぉ・・・め、めぐ・・み・・・
好きや・・・俺も・・・
どうしようも無く好きやった・・・」
啓介もお返しとばかりに情熱的に舌を入れてくる。
ピチャピチャと舌を絡め合っている。
夢にまでみた天使の唇であった。
甘い味がした。
(うまい・・うまいで・・・
恵・・・おぉ・・す、すご・・・い)
二人は飽きる事無く互いを味わっていく。
シーツの中の白い海に漂っている。
互いの温もりが心地良い。
「ああ・・ふ、ふ・・・んぐぅ・・・
お義父・・・さ・・ん・・・
好きっ・・あぁ、あ・・好き・・・」
「めぐみっ・・・
恵、好きや・・・めぐ・・み」
義父の唇がうなじをたどる。
恵の細い指が背中を漂う。
「あ・・はぁ・・・んん・・うふぅ・・・」
男の唇が徐々に下がっていく。
慎重にブラウスのボタンを外していく。
官能の波に埋もれながらも薄目を開けた恵が囁いた。
「カ、カーテン・・・
は、恥ずか・・・し・・い・・・」
か細い声に顔を上げた啓介は立ち上がると窓の鍵をかけ、カーテンを毟り取るように閉ざした。
途端に部屋が薄暗くなったが、キッチンから漏れる窓の光がシーツの中の天使を淡く浮かび上がらせている。
「めぐみ・・・綺麗や・・・」
投げられた言葉に頬を染める恵に興奮したのか、着ている物を素早く脱ぐと見つめている天使の前にそそり立つものを晒した。
(あぁ・・す、すご・・・い)
恵の喉が微かに上下する。
そして近づいてくる義父のコックに目を釘づけにしながら、遂にその言葉を口にしたのだ。
「あぁ・・ほ、欲し・・・い」
やっと言えた。
ずっと心に引っ掛かっていたものを取り出せたのだ。
恵はもう、何度でも言える気がした。
「あぁ・・欲しい・・・
来て、お義父・・さん・・・」