第二十五章 欲情-5
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(お義父・・さん・・・)
恵の瞳が妖しい光を投げかける。
啓介の視線がそれを絡めとる。
(恵、めぐ・・み・・・)
男の声が聞こえる。
(あぁ・・お義父・・さん・・・)
心の中で何度も返していく。
二人は愛し合っていた。
視線を交わしながら心の中で互いを犯している。
不条理な妄想は押さえているがゆえに愛を伴い、二人の間で確実に育っていった。
欲望の雲がムクムクと膨れ上がり、やがて嵐になろうとしている。
一瞬、閃光が走った。
男と女の視線は絡み合ったまま動かない。
二人の顔に影が消え、沈黙が支配している。
激しい音が二人を襲った。
それは、まるで恋のスタートの合図のように。