第二十二章 告白-3
「若い内に遊んどらん奴が年いってからすると、
歯止めがきかんのや・・・。
そやから・・・堪忍したってくれへんか?」
恵は酔いも手伝うのか、もうどうでも良いとさえ思えてきた。
自分が裏切られた事は事実なのだ。
「もう、いいです・・・」
力無く笑う天使が男には愛しく思えてくる。
「でも・・すごいショックだったんです。
薄々は気付いていたけど、
あの人が・・私以外の女の人と・・・」
天使の瞳が又、潤んでくる。
啓介はそこから涙が零れ落ちぬよう、必死になって言葉を繋いでいった。
「そ、そや・・・アイツが悪い。
そやけど、相手はクロートなんや。
本当の浮気や無いねん。
男はな・・・仕事でどうしょうも無い位、
ストレスがたまるんや・・・。
あっ、いや・・・そうや無い。
これは男の勝手な理屈やな・・・。
そやのうて、そのぉ・・・
び、病気なんや・・・」
「病・・・気・・・?」
「そや、男の本能・・ゆうんか・・・」
懸命に説明する義父の言葉にも、恵の瞳の色は悲しそうに沈んでいった。
「私・・飽きられたの、かな・・・?」
「ち、ちゃうて・・・。
ア、アンタはええ女や、
ホンマやて・・最高やぁ・・・」
恵は男の言葉に、微妙に反応した。
「うそ。私、もう三十だし・・・」
恥らうような表情が男の気持ちを高ぶらせる。
その分、男の口を饒舌にしていく。