第四章 二人きりのコーヒータイム2-3
それに初恋の人に想いを重ねてしまう恵が眩しく感じていることを、悟られたくはなかった。
夕食の時でも息子と話す内容が恵の嫌いな卑猥なものと知りながら、あえて選んでいたのだ。
幼い頃、憧れた優等生の女子への態度のように。
嫌われるのが解かっていても、何となく意地悪をしてみたくもなるのだ。
視界の端で捕らえる恵の表情を焼き付け、自分の部屋に持ち帰る。
一人になり、その愛らしい顔を思い浮かべるのだ。
恵の半月型の瞳が心に入ってくる。
形の良いプックリとした唇がそそる。
眉をひそめる表情を美しいと思った。
日を重ねる毎に思いが強くなってくる。
そんな想いに堪らず外へ遊びに行ってしまう。
まさか息子の嫁に手を出す事は無いのだろうが、その気持を隠すかの如くわざと無遠慮に卑猥な話をする啓介であった。
まるでそう、イタヅラ小僧のように。