甘い同棲生活F-11
本当に拒絶されていることに気づき、理央は電気マッサージ器のスイッチを止めた。
ローションがついて、ヘッドとショーツが糸を引いている。
ローターも引き抜くと、加奈子の横に横たわった。
「痛かった?ごめん……」
顔をしゅんとさせた理央が加奈子に抱きつく。
「ううん、違う。気持ちいいよ。激しく扱いたいなら、してもいいから……でも機械だけは寂しい。こうされてるのが気持ちいいの」
体が不自由ながら、身をよじって、理央の唇にキスをする。
「あたしだって……理央に強引にされるの、想像しないわけじゃないよ? だけど、想像の中の理央は、やっぱり優しいの。我慢させたくないよって言ったの、あたしなのに…ごめん、わがままで」
「むぅ。違う。僕だって怖がらせたいわけじゃないもん」
「でも、興奮してくれた……の?」
「するよ、そりゃ。何回もいくの、えっちすぎ」
口を尖らせて、理央は拗ねたような声を出す。
「ネクタイ……外して。せっかく、色々買ってきてくれたんだから、一緒に使おう? 理央ばっかり楽しむんじゃなくて」
どきん、と理央の胸が高鳴る。
微笑んだその顔は、あまりにも綺麗すぎた。
そして、興奮が先行するあまり、いちばん大事なことを忘れていた。
加奈子は自分の気持ちがついていかないのは嫌だ、と言っていたのに。
加奈子のネクタイを外して、理央は全裸になる。
加奈子も上半身のカットソーと下着を脱ぎ捨てた。
「ん、ストッキング……こんなにして。こういうの、したかったの?」
先程、された質問。
理央はようやく返すことができる。こくん、と恥ずかしそうに頷いた。
「じゃあこれはこのままね。ちょっと色気のない格好な気もするけど」
加奈子は理央を寝かせると、ボトルから少し、右手にローションを取り出して、理央の胸元にまず塗ってやる。
「う、冷たい……」
「ふふ、だよね。あたしもこういうの、使う人いなかったから……びっくり」
くすっと笑うと、理央の右側から唇にキスを落とす。
ぬるぬるとしたローションのついた手で、胸元を撫でながら。
「ん、っ」
いつもと違う感触に理央が敏感に反応する。
右手の指先が、理央の乳輪の辺りを捉えた。
そして反対の乳頭は、加奈子が舌で舐め上げる。
「う、……ん、やばい、ぬるぬるして」
理央が恥ずかしそうに、手の甲で目を隠す。
そして反対の手で、加奈子の背中を抱き寄せた。
加奈子の、汗ばんだ温かい背中。
やはり、理央自身も人肌を感じるほうが気持ちいいに決まっている。
改めてそれを感じて、思い出して、恥ずかしくなった。
ーーただ淫具で責め立て、強引なしかたで女が絶頂を迎えることに興奮を覚えるのなら、加奈子でなくてもいい。
逆に、肌のぬくもりを感じたいのは加奈子だけなのだ。