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闇よ美しく舞へ。
【ホラー その他小説】

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闇よ美しく舞へ。 4 『深夜タクシー』-3

「こっここ、これは狐の毛じゃねーのか!? まさかあの女の子って…… 狐が化けていたのか!?」
 そうして、今まで何度も行っては戻り、行っては戻りを繰り返させられたことを思い起こし。
「きききっ狐に化かされたあーーー!!」
 声を裏返し、悲鳴を上げていた。
 幽霊など見慣れているはずの運転手、だが今回ばかりは相当驚かされた様子である。タクシーのタイヤを鳴らしながら、慌てて車を切り返し、一目散に逃げ帰るのであった。
 そんな運転手の慌てっぷりを、霊園の入り口脇にある門柱の影から、そっと眺めていた美闇であったが、その滑稽(こっけい)さに笑わずには居られない。
「ああー可笑しい! あんなに驚くなんて。……でもちょっとやり過ぎだったかな。あんなに沢山走って、たったの1050円だなんて、これじゃあタクシー会社も大赤字よね。それに、消える幽霊の噂に今度は狐に騙された運転手の話が広まったりしたら、もう夜中にこの霊園に来たがるタクシーなんて、無くなっちゃうだろうな」
 そんなことを言いながら、美闇はお腹を押さえて、ケラケラ笑っていた。


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