【始・2日目】-1
強烈な喉の渇きで意識が戻る。
瞼が重くまだ目を開けることも出来ないばかりか、反対に身体はふわふわしていて感覚が戻ってこない。ただ喉の渇きが耐えられないほど激しい。言葉をつぶやこうにも声まで枯れてしまったように出なかった。
「ぅ…」
なんとか声に出そうと口を開くと、遠くのほうから誰かが何かを言った気がする。
頭が霞んだ様で言葉が理解できない。しばらくすると顎を掴まれ、何かが口の中に注ぎ込まれた。
(み、ず…?)
(ん、おいし、い!!)
口の中に入ってくるそれをこくこくと喉を鳴らし必死になって飲み込む。
(もっと…っ!)
口を動かすとまた注ぎ込まれる。それを何回か繰り返した頃にやっと感覚が戻ってきた。
「れっさん零すなよ」
舌が、わたしの口から零れた水を掬い入れ、同時にまた新しい水が流し込まれる。
「んっ、こくっ、こくっ、んぅ!」
それが口移しでされている行為だと気づく。舌が絡んできて行為がディープキスへと変わった。
「んっ!んっ!や、やだ、む、むぐっむ、ぅ、んむぅ…!」
執拗に口内を侵されていくうちに、頭と身体が、センさんに犯されたことを鮮明に思い出していく。
急に激しい嫌悪感が蘇った。
「…ん!ぁあ!やめて、いやぁ!いやああぁ!!やだああぁあ!!」
逃れようと狂ったように身体を動かすが、何かで固定されているのか動くたびに金属製のものがジャラジャラと音をたてる。
「……っ!」
手首が金具に擦れて悲鳴をあげる。気がつけば足元も浮かされているのか完全に地面に着かなかった。
何も見えず、自分が何をされているのかもわからずに、パニックになって叫ぶ。
「いやああーー!放して!放してえぇーーっ!!!」
と、「パアアァンッ!!」と鋭い音が部屋に響き渡り、左頬に痛みが走った。
「れっさん、うるさい」
センさんが冷たい声で言い放つ。
頬が焼けるように熱くなっていく感覚に、喉から嗚咽がこぼれてくる。
「ひっぅ…、なんで…、こ、こんな、ひどいこと、するの…?」
「わたし、センさ、んに何か、した…?こ、こんなひどいことされ…!」
途中で言葉が遮られる。
「ん、んぐ!」
センさんはわたしの言葉にかまわず、またディープキスをしてくる。
「れっさん、誘ってる?」
笑いながら落とされた言葉に、何を言われたかわからなかった。
「嫌がりながらすげぇ厭らしい顔してるじゃん」
「そんなに早くまたヤって欲しい?」
「ぁ…ぁ……」
場違いなセリフに何も言葉が出てこない。
「今日もいっぱい気持ちよくしてあげるね♡」
……心が壊れそうになる。
わたしの長い1日が、今日も始まってしまった。