甘い同棲生活B-4
「ふふ、中村さん、首元すごく、甘い匂いする。やらしい」
唇を離して、唇を密着させている二人を見ながら、愛おしそうに木綿子が囁く。
「佐藤くんに触って欲しくなってるんでしょう?気持ちよくなるところ、見たい」
そう言われても、理央がキスをやめないから、抵抗の言葉すら言うことができない。
実際に、加奈子の理性は削られて、理央の舌を受け入れている。
理央はちらり、と木綿子を見やると、そっと加奈子の下着の脇から指を差し入れて、クレバスでは収まり切らず、溢れて下着を汚す体液を指にまとわりつかせる。
「は、……ん、っ」
キスをしながら、強烈に与えられる下半身への刺激に、体が仰け反る。
縦のラインに沿って、ゆっくりと理央が指を動かす。
もっと上を、触って欲しいのに。
思わず加奈子は理央の右手を掴んだ。
理央はようやく唇を離して、加奈子に「どうしたの?」と問う。
「さわ……って。焦らさ……ないで」
「遠月さん、いるけどいいの?」
「ひど……い、そう言わせるよう、仕向けたの……理央……でしょう。木綿子ちゃんが、いても……理央に触って欲しい。理央が、いいの……」
加奈子の理性が削られているにもかかわらず、理央を求める丁寧な言葉遣いに、理央の胸が高鳴る。
誰でもなく理央を求めるその言葉に。
「加奈子こそ、僕が嬉しがるようなことばっかり言って。煽るんだから」
ぼそっ、と呟いて、余裕がなさそうに理央はその尖り切った陰核に触れる。
「ーーあ、ぁっ……!」
真横に木綿子がおり、腹に腕を回されて、耳元に荒い息がふきかかる。
彼女は自分のこんなだらしない姿に興奮しているというのか。
「感じてる中村さん、すごい……綺麗……」
「ん、……こんなに、だらしないところ……っ、見ないで。ダメ」
なるべく声を押さえようとしながら、木綿子の方を向いて加奈子は制止する。
「理央に触られると、だらしなく、な……ちゃぅ……の」
加奈子は息も絶え絶えに、布団と木綿子の頭の隙間から左手を差し入れ、木綿子の頭を抱えるようにする。
木綿子の鼻先に、汗ばんだ加奈子の首筋が当たる。
ふわり、とフェロモンにも似た、加奈子の甘い体臭が鼻腔に広がる。
加奈子が快感を感じる度に、頭を抱く手の感覚が伝わり、唇が加奈子の首筋に押し当てられてしまう。
さらには、加奈子の甘美な声、吐息、それが理央のいる位置よりも間近で聞こえてしまうのだ。
「木綿子ちゃ…ん、こんなところ、見て嫌じゃない……?ごめんね……ん、んぅ」
それでいて、木綿子を思いやる。
女性であるとか、男性であるとか言う前に、彼女の人を思いやる気持ちに当てられて木綿子の頭は呆けて、クラクラしていた。
「木綿子ちゃ、ごめ……なさ……。も……ぉ、ダメ……、理央……いく……いく……っ」
なるべく声を抑えて、加奈子は静かに絶頂を迎えた。
呼吸が整わないながら、加奈子の頭を左手で愛おしそうに撫でて、右手では理央の肩を引き寄せた。
「恥ずかしい……けど、大好きな二人といれて、あったかくて……安心する……」