one-sided love*happy end*-4
あれから、2年近い月日が流れた。
アタシが生きてる中で、一番の幸せと、一番の絶望を味わった日。
『幸せなんだ。』
あの日、アタシの何ヶ月かにわたる片思いは、両思いと化した。
泣きながら伝えた想いの返事は、愛だった。
でも…ただ、それだけ。付き合う事なんて出来ない。
一緒にいると、ツラいからと兄やんを無意識の内に避けていたアタシと
妹に恋愛感情を抱き、それが知られるのを恐れた兄やんと……
ただ、最後はお互いに『ありがとう』を言って終わった。
翌日はさすがに苦しかったけど、それも段々と薄れていった。
それから暫くして、兄やんは同棲を始めた。
ヒナさんをウチの両親に紹介したあと、2人は一緒に暮らし始め、来月くらいに結婚するそうで、その報告の為に今日はウチに帰って来たらしい。
「でも、兄やんとヒナさんの子供って…髪の色はどっちなんだろう…?」
ヒナさんは妊娠していて、今9ヶ月目。
もうすぐだけど、お腹も膨らまないし、相変わらず素晴らしいプロポーションを保っている。
まぁ、銀色の方がかっこいい気もするけど…。
「…俺に似たら、デカいだけで役に立たなさそ…。」
自虐的なセリフ…、兄やんの遺伝子を受け継ぐ子供には、顔とスタイルと頭の良さと優しさだけ似て頂きたい…。
「名前は、もう決めたの?」
「…ん、まーね…。」
何だろ…ヒナとチユルだから…チナとか?ヒユル…はないか…。
「うーん…何だろ…。」
「教えて欲しい…?」
「うん!何なの?」
アタシがそういうと、兄やんは笑って言った。
「…内緒。お楽しみだよ…。」
―――――………
『あ!お母さん!兄やん達来たよ!』
それは、ポカポカ陽気の暖かい日だった。
ウチに、兄やん達が赤ちゃんを連れて帰って来た。
『あらー、よく来たわねぇ。さ、上がって。』
そう言いながら、お母さんは赤ちゃんを抱いてリビングに来た。