『beat mania UDX』より不夜城の仲間たち〜外人二人とイロハと理々奈-4
「帰ったら、明日の用意をして……」
ドドド……!
「ん?」
彩葉が独り言を呟いていると、前方からなにかが此方へと走ってくる。
目を凝らして見てみると、そのシルエットが明らかに人間ではないことがわかった。
『あそこデちゃんと話していればよかったでしょウ!?』
『だから謝ってるだろうが!!』
なにか物凄い言い争いをしながら、戦隊ものの悪役に出てきそうな着ぐるみを着た二人組が、彩葉の横を全力で駆け抜けていった。
「な、なに今の……」
走り去っていく二人組を目で追っていると、今度は警官たちが努声をあげながら彩葉の横を通り抜けていった。
彩葉はしばらく状況を整理し、1つの公式を思いついた。
逃げる怪人+追いかける警官=騒ぎ事。
「………面白そう!」
明日の学校でのお喋りのネタになるとふんだ彩葉は、怪人たちの追跡を開始した。
「あれ……見失っちゃった」
必死に走って怪人たちを追っかけたものの、もはや二人の影はなく、警官たちが少し前で辺りをキョロキョロと見渡していた。
よくよく周りを見てみると、バーや居酒屋の立ち並ぶ場所に来てしまっていた。
もはや怪人たちを見付けることは不可能と分かった彩葉は、早々に戻ることを決めた。しかし。
『死ぬかと思いましたヨ……』
『はっはっは、もう過ぎたことだ』
ある一軒のバーの前からさっきの怪人たちの声が聞こえてきたのだ。
そのバーの扉の上には『Xenon(ゼノン)』とデザインされたプレートが取りつけられていた。