『beat mania UDX』より不夜城の仲間たち〜外人二人とイロハと理々奈-3
トントン
二人が怪人姿のままで道を歩いていると、不意に二人の肩が後ろから叩かれた。
二人が振り向いた先には、青い制服と帽子を被った警官という職種の二人組が、サイレンと孔雀をにらんでいた。
サイレンは、自分の体から急速に酒気が抜けていくのを感じた。
(ど、どうしまショウ……)
警官たちは二人に質問を始めた。この時サイレンは、真面目に質問に答えていれば、少しの説教で帰されるだろうと思い、素直に謝ろうとした。
『君たち、着ぐるみをとって顔見せて』
「あ、ハイ」
サイレンは警官の質問に答えようとしたが、なぜか隣の孔雀が反応を示さない。
『キミ、早く着ぐるみをとって!』
警官が孔雀の着ぐるみに触れようとした瞬間であった。
『アタァ!!!!』
ドスっ!
なんといきなり孔雀が警官たちに地獄突き(手の平を上に向け、指先で相手の喉を突く技。本当に痛い)をぶちかましたのである。
警官達は意表をついた孔雀の攻撃に、喉元を押さえもがいていた。
『逃げるぞ!』
「そんな……ああもウ!」
二人は言うが早いが夜の繁華街を疾走し始めた。
その頃、二人が質問を受けた場所からそう遠くない路地を、一人の少女が歩いていた。
腰まで届くかという位に長く透き通った橙(だいだい)の髪に、簪(かんざし)と、ストレートヘアを邪魔しない様な長い白のリボンの紐を飾っている。
「はぁ、なにか面白いことないかなぁ……」
少女の名は彩葉(イロハ)。つい一年前、高校入学を機に京都からやってきた少女である。
最初の二、三ヶ月は流石(さすが)に緊張したが、今は学校にも日常生活もすっかり慣れた。
気持ちに余裕が生まれるとなにか刺激を欲するのは当然であり、彩葉も例外ではなかった。