『beat mania UDX』より不夜城の仲間たち〜外人二人とイロハと理々奈-2
『ついにお前まで俺を孔雀と呼ぶか……』
「セリカさん、ナイスネーミングですネ。それに、案外気に入っているのでショウ?」
『はは、まぁな』
ちなみに孔雀の本名は、「クイスリング・ジャック」と言うのだが、新しくゲームセンター仲間となったセリカに、
『長いから、孔雀で決まり!』
と言われてからは、孔雀というあだ名が浸透していった。
二人はとりあえず乾杯を上げ、お互いの近況を報告しあった。
「で、そのバッグはなんデスカ?」
話が一段落したころ、サイレンは孔雀の横に置いてあるバッグに目が行った。
『そうそう、これを見てくれ!』
ズルズルとバッグから引き出された物を見て、サイレンは驚きで目を見開いた。
「な……なンデスカそれは!?」
バッグからは、戦隊もので着るようなグロテスクな怪人衣装が姿を現した。
『実は、この怪人の役に入っていた奴が事故っちまってな。お前なら背格好が似てるからってことで頼みに来たわけよ』
「な、イヤですよ!何で私ガ!」
『もちろんタダとは言わん。ギャラだってちゃんと出すし、現場の女の子も紹介する。それでも嫌か?』
孔雀の説得に、サイレンの気持ちが折れていく。サイレンがOKサインを出すまでに、それほど時間はかからなかった。そして……。
「ど、どうデスカ?」
『おお、ピッタリだ!』
何故か二人はそのまま座敷で着ぐるみに着替え始めた。普段なら絶対にこんなことはしない二人だが、やはり酒の力は恐ろしい。
「なかなか着心地がいいデスネ」
『そうだろう!俺も製作を手伝ったからな!よし、もう一軒行こうぜ!』
「いいデスね!」
もはや二人にまともな思考は働いていなかった。
怪人の着ぐるみ姿で勘定を済ませた二人は、二軒目へと足を向けるために店を出た。だが、その途中で悲劇は起きた。