第二十八章 別れ-5
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朝のセックスの後。
『ねぇ、裕君・・・』
僕の腕の中で余韻に浸りながら、妻は囁いた。
『わたし・・・子供が欲しい・・・』
僕も全く同じことを考えていたので、抱いた腕をギュッとした。
何も言わなくても気持ちが伝わったのか、映見が微笑んだ。
今回のスワッピングで、僕達は本当の愛を手に入れた実感を分かち合っていたのだから。
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「そうですか・・・。
それが、いいと思います・・・。
私もかおりと相談してサイトを
閉じようと思っていたところです」
藤本さんの言葉に、気持ちが安心するのを感じていた。
「若槻さん夫妻とは・・・
ずっと御一緒したいとは思うのですが、やはり、
今回を最後の思い出とした方がよさそうです。
それくらい、素晴らしいセックスでした」
一つ一つの言葉に頷きながら、僕達は聞いている。
「これ以上、続けてもかえって思い出を汚してしまうでしょう。
だから・・・」
一瞬、間をおいて藤本さんは言った。
「明日が、最後のスワッピング・・・
私達にとっての最後のセックスです」
「最後のスワッピング・・・?」
僕と映見は、どちらからともなく呟いた。
一瞬、消えていた波の音が蘇る。
秋生達の歓声が、遠くで聞こえる。
僕と映見は互いの手を、無意識につないでいた。
どちらともなく、ギュッと握りあう。
スワッピング三日目。
明日は最後のセックスになることを二人、噛みしめるのだった。