第二十八章 別れ-3
「新藤さん・・本当に明るくなった・・・」
浜辺をはしゃぐ四人を見ながら呟いた。
「初めて会った時は・・・」
かおりさんに目を向けると、無言でうなずいた。
「暗い顔をして・・・
言葉も固くて、それに桜さんも・・・」
右手で砂をつまみ上げると、少しずつこぼしていく。
「新藤さんは外務省にお勤めで、来月からアフリカに赴任されるそうです」
「えっ・・・?」
意外な言葉に僕は声を出した。
映見も顔を上げている。
「ストレスからEDになり、私のスワッピングサイトに申し込まれたのです」
話がそれた気がしたが、それでも僕達は黙って耳を傾けていた。
「最初は緊張もあって、エレクトしなかったのですが・・・」
会話の中身は卑猥なのだが、違和感はなかった。
いつもながら、大学の教授が講義しているようだ。
「秋生さん夫妻が明るく接して・・・
な、かおり・・・?」
「そうね・・・」
何かを思い出したのか、恥ずかしそうにうつ向いた。
砂をいじりながらポツリと呟いた。
「私達とも・・・ね?」
そのまま映見の顔を覗き込むようにしている。