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楓南と恵未
【ラブコメ 官能小説】

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楓南と恵未 -11

 週が明けて打合せ通り、出張先のホテルであとから着いた楓南と合流して、夜の街で2人仲良く夕食を済ませてきた。
「今日は2人でゆっくり過ごせるのね。」
「うん、楓南との最後の夜だからね。」
「いやぁ、それはどうかな。お見合いは1回だけじゃないかもよ。」
楓南はいたずらっぽく妖しく笑っている。
「え? そんなことやだよ。」
「さぁ、いいから早くお風呂に入って遊ぼう。」
「う・うん。」

 お互いに服を脱がしあって全裸になった。
前回の営みから1ヶ月も経ってないのだが、やっぱり恵未と比べて若さが勝っていて新鮮だ。
恵未には悪いが、楓南の方が肌がしっとりと吸い付くようだ。
やっぱり若い楓南の方が気分が上がる。

 さあこれからというところで、無粋にも俺の携帯から呼び出し音が鳴り始めた。
見ると恵未からだ! なんだろう? 今まで出張先に電話してきた事なんてなかったのに。
「楓南、ちょっと待って。恵未から電話だ。」
「え〜っ、やだぁ。いいところなのにぃ。」
「お願いだから離れて静かにしてて。絶対声出しちゃダメだよ。」
「うん。」

楓南から離れて電話に出た。
「もしもし、何か急用なの?」
「ううん、別に用はないんだけど、ちょっとあなたの声が聞きたくなっただけ。」
「そうなの、珍しいね。」
恵未がわざわざ電話してきた意図がわからないので、緊張して声が上ずってしまう。
「ええ、今日ね、もう少し荷物が残ってたから実家に取りに来て、泊まっていくつもりなんだけど、今日は楓南が出掛けてて家にいないのよ。平日だって言うのにわざわざ休みを取って友達と旅行にでかけたんだって。」
「え・あ・そ・そうなの?」
心臓が急にバクバク大きな音をたて始めて、呼吸が苦しくなってきた。
「そうなんだって、行先も言わずに気楽なもんだわ。あなたも行先は聞いてないでしょう?」
「う・うん、そうだね。お・俺が知ってるはずないだろう。」
「ふふっ、そうよね。そのお友達って言うのがあなただなんてことないだろうし、楓南が勝手にあなたの出張先に後を追いかけて行くなんてこともないよね。あなたの声を聞いてはっきりしたわ。じゃ明日は早く帰ってきてね。今夜は独り寝だから明日の夜は激しいのを期待して楽しみにしてるわ。」
「う・うん。」

 電話を切ったのだが、恵未の言葉が耳に残ってざわついている。
頭から血の気が引いて気が遠くなりそうだ。
携帯をもったまま呆然としていると
「姉さんなの?とんだ邪魔が入ったわ。さあ、お風呂に入って続きをしようよ。」

「あら? どうしたの? 元気がなくなってる!」
オレはそれまで元気いっぱい屹立して自己主張していたのに、今の電話で恵未から『楓南が家にいない』と言われた途端に萎えてしぼんでしまった。
勘が鋭い恵未のことだから楓南は俺と一緒だと察知したに違いない。
それで牽制のためにわざわざ電話してきんだ。きっとそうだ。
はっきり指摘せず含みを持たせた言い方でジリジリ追い詰めるなんて悪魔の所業だ。
そして恵未の思惑通り、オレはビビってしまい、萎えて役立たずになってしまったのだ。
明日マンションに帰るのが怖い。

恵未、俺が悪かった。
赦して!もう二度とこんなことはしないから。
丸坊主になって反省するっ!!

楓南がオレを一生懸命奮い立たせようとするが一向に言うことを聞かない。叩いてもダメ、叱咤激励しても力なくしょぼんとうなだれたままだ。
「あ〜もうっ、姉さんはどれだけ邪魔をすれば気が済むのかしら。ムカつくぅ!」
「楓南ごめん、これじゃあダメだ。役に立たない。今日はおとなしく寝よう。」
「くやしい〜っ! もう見合いなんかしない!」
「いやそれは困る、頼むから見合いしてくれよ。」
「いや、絶対に嫌だっ! 姉さんにとことん逆らってやる。あなたから離れない!」
「楓南、お願い! 落ち着いて。」
「いや! いや! ぜ〜ったいイ・ヤ・だ〜〜〜〜〜〜!!」

楓南、俺が悪かった。
俺が優柔不断なせいでこんなことになってしまった。赦してくれ!!



おわり


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