one-sided love*painful-3
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「チユ君!久しぶり!」
擦れ違う人、人、人、全て必ず振り返るのは…
「…久しぶり。背ぇ…伸びたね…。」
一緒に歩いてるこの人がいるから。
擦れ違いざまに、『かっこいい』だなんて…。
確かにカッコいいけど!そうですけど!やめて!!
そうと知ってか知らずか、チユ兄はサービス精神旺盛で、さっきから笑顔を振りまいている。
「チユ君に言われたくないなぁ。」
…何を?何の話?
「くっくっく…女の子は、それくらいが可愛いよ…。」
って、おい!!アタシにはそんな事言ってくれないくせに!!
まぁ…、そっか。妹だし…彼女ってわけじゃないし…。
2人の盛り上がってる中にいまいち入れず、アタシは1人で後ろを歩く。
気付いたら3階。てか、何しに来たんだっけ…?はぁ……。
ボスッ
「ぶっ!」
「…ハユ…?」
「痛ぁ…。あ、ごめん…。」
俯いて歩いてたせいか、前を行くチユ兄の背中に顔面強打。
鼻が痛い…これ以上低くなったら…困る。
「ハユ…へーき…?」
「う、う…だいじょ「チユル?!」
ざわついた人込みの中から聞こえた、兄やんを呼ぶ声。
「…?……あ。」
驚いた表情の兄やんは、慌てて顔を逸らす。が、その腕を掴み、ぐいっと振り返らせる。……誰?
「チユ…何で…こんな所で、何してるの?」
真っ黒い髪の、綺麗なストレート。
白いフレアのスカートから伸びた、形のよい細長い色白の素足に真っ赤なミュール。
黒いポロシャツの首元から見える白い肌と、ネックレス。…ホワイトゴールド?!
そして、なにより…
「誰…この美人……。」
結莉が呟く。そう…芸能人なんか、目じゃないよ…。すごい美人…。
「…ヒナ。」
掠れた、兄やんの声。…ん?『ヒナ』?
…『チユル』?
……何で名前で?!