第二十七章 波しぶき(画像付)-1
第二十七章 波しぶき
低い波しぶきの音が強弱をつけて、私の耳に届いている。
「キャッー・・・」
そらさんの声が、遠くの方で響く。
「ウラッー・・・」
秋生さんの声が重なる。
そらさんを肩車して、波打ち際を往復している。
波が押し寄せると逃げるのだが、大きなしぶきがかかり、服がずぶ濡れになった。
「もぅー・・・アキちゃん、遅いぃー・・・」
夫を責める言葉だったけど、その口調は嬉しそうで金髪の頭をギュッと抱きしめている。
「フフッ・・・」
裕君の肩にもたれながら、私は口元を綻ばせた。
初夏の海岸でのひと時を気だるく感じながら、ゆったりとした気分に浸っている。
昨日の激しいセックスの余韻と疲れが残る身体が、寄せては返す波を眺めているうちに癒されていくのが分かる。