乱心-1
車のところまで辿り着くと啓介はしばらく車内で放心した。
そして、、、エンジンをかけ車を走らせるが・・・
麻由を待たないといけない。
それを思い出した啓介は適当なところに車を停め、麻由からの連絡を待った。
今彼女は、どんな目に遭ってるだろうか、、、今度は逃げてきてしまったことを後悔した。
それから三時間ほどで、麻由から連絡が来た。
「今終わりました。どこにいますか」
啓介はホテルのすぐ傍まで車で迎えに行く旨を返信する。
待ち合わせ場所に到着してから十分ほどで麻由が来た。
「お待たせしてすいません」
息を切らしながら麻由は助手席に乗り込む。
「長かったね。ご苦労様・・・ごめん、先に出ていってしまって」
啓介は車を出した。
「あ、いえ、、、構いません。私がそう言ったので」
麻由はそのことは怒っていないようだ。
「ほんとは一時間前に終わってたんです」
え、、、一時間も前に・・・ではなぜ?
「着替えも済ませて帰ろうとしたんですけど、、、また襲ってきて」
「それって、、、挿れられたの?誰に?」
麻由はやや怪訝な表情で、
「挿れられる、って嫌な言い方ですね」
麻由は続けた。
「あの二人です。他の方たちはさすがにもう疲れてたようで、、、なのにしつこいんです、あの子たち・・・」
そもそもを言えば、あの二人が元凶だ。そのあいつらが麻由にしつこく・・・
麻由の仔細の説明で、彼女が犯されてる姿がそのまま脳裏に浮かぶ。
「あ、、、裸にされたりはしてないんですけど。つまり、、、下着だけおろされて」
彼女のほうも、話してて恥ずかしくなったのか、あるいは私に気を遣ったのか・・・
「じゃあ、、、結局あいつらって・・・三、四回も、ってこと?」
麻由はすぐには答えなかった。
「、、、そうじゃないですか。数えてないので・・・」
もう、思い出したくない、と言った表情だった。
「、、、で、おじさん連中は?」
話題を変えようとしたのだが、、、
「それも数えてません」
気まずい、、、が、啓介の動揺がますます空気を悪くする。
「じゃあ、、、二十回近くか・・・」
「、、、何がです?」
「あ、、、麻由・・・ちゃんが挿れられ、、、あ、いやっ」
麻由はなにも言わず黙って、走る車の前だけを見ていた。
「疲れただろ、、、そんなに挿れられ・・・」
「ん、、、回数の問題じゃないかも・・・」
「そ、そうだね、、、挿れられた回数じゃなく『逝かされた』回数?」
・・・またまずいことを言った。
彼女の横顔は、明らかに不機嫌であった。
が、私もまたあの若造のことを思い出し、
「あいつらには、、、逝かされた?」
つい、聞いてはいけないことを聞いてしまった。彼女は、、、なにも答えなかった。
街に帰りつくまでの間、、、私たちのあいだを「沈黙」が支配した。
知り合って約四か月、、、怒った麻由がこんなに怖いとは思いもよらなかった。
しかし、自分が悪い・・・啓介はわかっていた。
嫉妬のあまり、麻由が聞きたくない、答えたくない質問を連発した。
啓介としては、麻由がどんな目に遭わされたのかを知りたい一心だった。
「ここでいいです。あまり家に近づくと・・・」
彼女は啓介の家の近くで車を降りた。
翌日、仕事中に「三度目の開催」の打診の連絡を受けたが、、、今度はきっぱり断った。
そしてその日の夜、、閉店後の店でひとりでいたところに、、みさきから電話が入る。
「橘くん、、今日麻由は仕事じゃないよね、、、昨日から帰ってないの」