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盲目の少女
【エッセイ/詩 その他小説】

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盲目の少女-1

私は先日、光を失いました。
突然の病気で、少しづつ苛む様に、悪魔は私から光を奪ったのです。


光を失う途中、私は世界の理を見た気がしました。
足掻いても掴めない未来。
私にとって、光は未来でした。
その光を失いつつあった私の心は、きっと誰の目から見ても荒んでいたのでしょう。

毎日泣いて、せっかくお見舞いに来てくれた人を、馬鹿にするなと追い返してしまい、
溜まったストレスを、床に物を落とす事で吐き出していました。


光を失っていくのと同時に、闇が増えていきました。
日々、闇は私の光を飲み込んで、大きくなっていきました。

何よりも夜が嫌いでした。
闇の訪れを、何よりも怖がりました。
朝になると、一番に太陽を見ました。
まだ光を失っていないことを、確認する様に。

ある日、向かいのベッドに友達ができました。
男の人でした。とてもかっこよくて、一目惚れでした。

話してみると、彼は癌でいつまで生きていられるか分からない状態でした。
私はその話を聞いた時に、涙を流しました。久しぶりに人のために涙を流しました。

私は完全に彼を好きになっていました。一緒に笑い、一緒にお散歩をして、一緒に未来の事について話し、かけがえのない日々でした。


そんな時も長くは続きませんでした。悪魔は容赦なく私から光を奪う。もうほとんど見えませんでした。


それに、追い討ちをかけるように、彼が死にました。
苦しんで、のたうち回る姿を、私の残り少ない光は、克明に私の脳に映しました。


そして、狙っていたかの様に、光を完全に失いました。
狂いそうでした。何も見えない、空虚な世界に一人取り残されたみたいでした。
私の弱い心は耐え切れず、光を失ってから二日後に、私は舌を噛んで自殺しました。


彼がいてくれたら、喩え闇の中でも、彼の声だけで私の心は光を取り戻せたのに。


どんな未来でも、歩き続ける事ができたのに。


今、私は光を取り戻しました。神様は、天国で私に光を与えたのです。


でも、今欲しいのは、光じゃない、未来じゃない、彼の声なんです。


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