夢想の楽園-9
もう、痛くないよな?
母さんと一緒に居るんだよな?
だから、消えてくれ。
「ごめんな。許してくれ。許してくれ」
涙を流しながら、杉浦は云い続ける。
謝っても謝っても、答えはない。
いつの間にか、杉浦は眠った。
夢も見なかった。
また朝が来る。
何も変わらない筈の、朝が。
全て変わってしまうかも知れない朝が。
杉浦は、知らなかった。世界が壊れてしまう事があると解っていなかった。
だから、あの日の朝も、前の晩も、当たり前にいつもと同じだろうと信じていた。
もう、信じる事の出来ない―――変わらない日常を。
もう夢の中にしかない娘達の笑顔が続くことを―――。
ただ、信じて、いた。