ある雨の日-1
「あ、雨だぁ。」
「ホントだ、結構降ってんな。」
「・・・あれ?傘、出さないの?」
「え?持ってるだろ?朝、持ってたじゃん。」
「・・・うん。でも今はない。」
「はい?」
「えと・・・貸しちゃった。」
「なんで〜!?」
「・・・だって、相合傘で帰りたかったんだもん。」
「・・・・・・。」
「傘、持ってきてたよね?」
「・・・俺も、貸しちゃった。」
「うそぉ。」
「マジです。一緒です。」
「以心伝心?」
「いや、この場合は違うだろ。」
「う〜、せっかくの相合傘できると思ってたのに。」
「俺も、そう思ってたんだけどな。・・・ってかそろそろ行かないとバス来ちゃうな。」
「・・・んじゃ、二人仲良く濡れて帰りますか。」
「ん〜、それもいいけど。ほれ。」
「・・・え?ブレザー?」
「とりあえず、それ頭から被ってな。」
「や、それじゃそっちが風邪ひいちゃうよ。」
「へーキ。何とかは風邪ひかないってよく言うじゃん。それにバス停まで歩いて5分位だろ。」
「でも・・・やっぱり悪いから。」
「んじゃ・・・万が一風邪ひいたら、責任とって看病してくれる?」
「・・・はい?」
「治るまで、ずっと側にいてよ。」
「あの・・・。」
「あぁ、それなら俺、濡れて帰るの楽しいかも。風邪ひくのも悪くないな。」
「ちょっと?」
「と、いうことで帰ろうぜ?」
〜Fin〜