第三十三章 裏切り-7
『はぁっ・・はぁっ・・はぁっ・・・』
涙目の香奈子は、真っ直ぐ見つめる竹内の視線を感じた。
不適な笑みに、決して逃れる事は出来ないと悟る。
『んぐぅっ・・・』
右側から伸びた手が顔を引き寄せ、唇がふさがれる。
いきなりのキスに抵抗する間もなく、舌が差し込まれてしまう。
『おほぅ・・・奥様・・・』
囁く声が妖しく心に入り込んでくる。
別の男もバストを舐め続けている。
『ああっ・・・ああ・・はぁ・・・』
挟まれた快感から逃れる事も出来ず、苦しそうに漏らす息さえ絡み取られていく。
『見て下さい、みなさん・・・』
『今、まさに官能の海に溺れていこうと
していますよ・・・』
マイクを通す声も遠ざかっていくように感じた。
『んふぅ・・・んん・・・』
(ああ・・・わ、わたしっ・・・?)
キスしている。
夫以外の男と。
竹内でもない。
見知らぬ男達だ。
『はあぁ・・・』
半ばショックで、放心状態のまま唇を放した。
『こっちもですよ、奥様・・・』
『んぐぅっ・・・』
別の男が無理やりに顔を振り向かせ、唇を重ねてきた。
アゴヒゲがチクチクと頬を刺激する。
『んふぅっ・・・・ん・・・・んふぅ・・・・。』
口の中をかき回す舌の動きが、悩ましい快感を運んでくる。
送り込まれる唾液が喉元を通り、ゴクリと飲み込んだ。
微妙に違うキスの味は理性を揺さぶり煽っていく。