幽霊と一緒〜文化祭編〜-4
翌日の学校
僕は違和感を感じる。
周囲が異常なまでにイキイキしているからだ。
普通「明後日が文化祭」などと突然言われればやる気が失せるはずだ。
ベニヤ板を運ぶために廊下を歩いていると目の前を歩いていた二人組からある会話が聞こえた。
「とうとう明日が文化祭だな」
「前々から準備したかいがあったよ」
………え?
いやいや、聞いた話と違うぞ。僕は「明後日が文化祭」と突然聞かされた。ということは当然のことながら他の生徒も昨日学校で聞いたはずだ。そうだ、そのはずだ。僕のクラスだけが昨日知らされるワケが無いな。
そう自分に言い聞かせ自分の教室にベニヤ板を運んだ。
「あ、お疲れ様〜」
大道具係の蒼氷が釘を打ちながらこっちを向く。少しだけ、指を打て、と思ってしまった。
ガンッ!
「痛!」
………叶った。
さっきの件を蒼氷に聞こうと思ったが当分は無理だろう。
教室を見回すと大体は出来上がっている。なんとも作業が早いクラスである。
「サボるなよ神道」
不意に後ろから声をかけられベニヤ板を落としかける。
「あ、先生か」
そこにはクラスの担任である謎多き女教師“市村飛鳥(いちむらあすか)”が仁王立ちしていた。
ちなみに第1話に登場した教師も市村である。
「あ、そういえば先生」
「ん?どうした?」
「他のクラスは文化祭の予定日を知ってたのか?」
もしこれで「知っていた」などと返事が返ってくれば僕はどうすればいいだろうか。
「ああ、私が知らせるのを忘れたんだ」
市村は片手で頭をコツンと叩きエヘヘと言っているが何というか………イタイ。24歳がやるには無理がある。
「……」
「まぁスリルがあっていいじゃないか」
市村はそう言い、僕の肩をポンポンと叩き去っていった。
あの先生は何をしに来たんだろ?だけど謎が解けてスッキリした。イライラはMAXだが……
文化祭当日
「何これ?」
零が不機嫌な声で言う。
「ドラキュラだけど何か?」
璃逢は冷静に応える。
零に割り当てられた役は“ドラキュラ”だった。
「じゃああれは?」
零が指差した方向にはフランケン姿の蒼氷がいた。
「知らない?フランケンって言うんだけど」
「内装は純和風なんだけど……ギャア!」
首筋に何か冷たいものが当たる。謎の物体をつかむとオバケ屋敷の定番であるコンニャクだった。少し違うのは糸こんにゃくであることだが。
「……疾風」
犯人の疾風を見付け、怒りのオーラをぶつける。
「アハハ、零ったら怒ったネコみたい」
軽くあしらわれた。
怒りのオーラ撃沈。
「はーい、集合!」
市村がクラス全体を集め、話を始める。
「いい?オバケ屋敷なんだから相手を驚かすのを第一に考えなさい」
たまにはこの先生もまともな事を言うんだな。
「例え客が心臓発作起こしても私たちの責任じゃないから」
……前言撤回。
「では始め!」
そして文化祭が始まった