女らしく【18】『彼岸と此岸と境界線』-6
ガチャ…
げっ…
病室の中にはニヤニヤと笑う奏、晴樹、博士、ミリィ、撫子さんと泣いている詩乃が…
稲荷は大和を睨み付けている…
「…な、何だよ!」
「「「「「別にぃ♪」」」」」
よく考えると大和の病室からは中庭が丸見えなわけで…
「うわああん!お姉様がキスしてたあああ!」
バッチリみんなに見られてた。
「お邪魔でしたわね♪」
「良かったねマコト♪」
「マコト、披露宴は何時デスカァ♪」
「ちゃんと呼んで下さいよマコトさん♪」
「マコトちゃん、これからは私のことは義姉さんでいいからね♪」
さっきまでのことがフラッシュバックして、また顔が燃え上がった!
「お姉様ぁ…私にもキスぅ…」
唇を狙って詩乃が飛び掛かってきた。
「キスぅ!ん〜!」
「や、やめろよ詩乃!」
唇を窄め、近付く詩乃を必死に押しやる。
「はい、はい!二人のスィートな時間を邪魔しないように帰るわよ♪」
そういうとみんなは帰っていった。
詩乃は最後の最後まで暴れていた。
「稲荷…」
稲荷は大和を睨むと、オレの横を過ぎていった。
「心配すんなよマコト、俺は死なねえから…」
稲荷の目許が少し光った様に見えた。
「…浮気すんなよ」
ボソリと大和が言った。
「しねえよ♪」
また、どちらからともなく顔を寄せ、キスを交わした。
「大和、愛してる…」
「俺もだ、マコト…」
オレの長きにわたる初恋は此所に終わった。
続く…