女らしく【18】『彼岸と此岸と境界線』-2
朝が来た…
「…今日…学園長と教頭が来たよ…二人とも謝ってた…」
二人は頭を下げていた。オレは学園長から、大和の側についていてくれと言われた。
「大和…試験が終わったら、答え出してくれるんじゃなかったのかよ…」
オレは誰に語りかけているのだろう…
大和?
オレ?
「…どんな答えでもいいよ…好きになってくれなんて我儘は言わないから…ただ…大和が起きてくれればいいから…お願いだよ…大和…」
気付くと真っ暗な世界だった…
ああ…夢の中か…
これは夢だ。
だって向こうで大和待ってるから…
オレの視線の先には大和が佇んでいる。
でもいい…夢の中だって大和に会えるのならば…
「大和…」
足が自然に動き出した。少しずつ…少しずつ…
だが…歩いているはずなのに、大和との距離は少しも縮まらない…
歩きが走りに変わる。
「大和、大和、大和…」
それでも大和との距離は縮まらない…
それどころか、少しずつ開いていく…
「大和!」
痺れを切らしたかの様に大和が踵を返し、暗闇の奥へと歩いていく。
「大和、待って…待ってよ、大和ぉ!オレも一緒に…」
大和は止まることなく歩いていき、そして見えなくなった…
「大和ぉ!」
朝が来た…
今日は確か……土曜日だ…
「…大和…」
酷く乾いている…
喉も…
瞳も…
心も…
大和はすぐそこで寝ている…この一週間、変わらない顔で…