或る営業マンの話 -1
私は仕事の関係や付き合いの関係で、多くの人々と接することがあります。
それは男女ともいます。サラリーマン、営業マン、会社員、飲み屋の女将、
ストリッパー、快楽の世界に生きる女性等、
そして私に関わった女性達(主にSM関係)もいます。
そういうエロチックな人の話を思い出しながら、少しづつ紹介しようと思います。
今よりも以前の話が出てくる場合もありますが、ご了承ください。
これは本人の生の言葉を聞き、それを文章化にしました。
ここに登場する人物の中に私も登場する場合もあります。
これらの登場人物の中で、名前は変えてあります。
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或る営業マンの話
彼は或る会社の営業マンとして、仕事でいつも忙しく飛び回っている。
その彼は織田川という中年であり、妻も子供もいる。
いつも帰宅が遅いので、食事は妻と子供は済ましていて、
自分は外食することが多い。
営業が終わり、地元の駅から自宅の家まで歩いて二十分ほどある。
その駅は私鉄沿線にあり、その駅を降りると周辺は繁華街として賑わっていた。
今ではその様相も変わっているようで、以前ほど活気はない。
彼は仕事柄、酒席が多くその関係からかアルコールに強い。
或る日の週末、彼は出張が終わり、その駅に着いて家に帰ろうとしたとき、
煌めくネオンに心を奪われていた。
その辺には飲み屋が多く、少し裏通りに入ると様々な店がある。
今では少ないようだが、
それでも街角には、色っぽい女性が客引きをすることがあるらしい。
そこを素通りしながら、ブラブラと歩き、
灯りがぽつんとついている或る小さなスナックを見つけて、
そこに入った。
その店は場所柄あまり目立たないところで、
彼はその日は、落ち着いてじっくりと飲みたかった。
時間は夜の10時ごろだったようだ。
この時間では、およその飲み屋は閉まっていた。
店の中に入ると、こじんまりとしている。
テーブルには可愛い花々が花瓶のなかで良い香りを放っていた。
そのにおいが彼の心を慰めた。
そこには豊満な身体の中年の女性のママと思しき女性が一人いた。
カウンターの中の女性はとても美しかった。
「いらっしゃいませ」と女性は愛想よく彼を見て微笑んだ。
そのとき、彼は優しい彼女の笑顔に疲れをとれたような気がした。
「今日は少し酔いたい気分できました」
と彼は言うとカウンターに腰掛けた。
「ありがとうございます、このところお客様が少なくて助かりますわ。
あの……何にいたしますか?」
「そうだね、ビールとなにかつまみでも貰おうかな」
「ありがとうございます、
あの……今夜はもうだれもお客様は来られないと思いますので、
一緒に飲んでもよろしいでしょうか」
はにかみながら愛想の良い彼女の申し出に少し驚きながら
彼はもちろん承諾した。
ビールのコップをもって彼女は、カウンターから彼の座っている横に座った。
「一緒に飲みましょう」
「ありがとうございます」
しばらく2人は談笑していた。彼は仕事のこと、ママさんは店のことなど。
ママさんから聞くところによると、この辺も不景気になってから、
あまり客が来なくなったと言う。
この店もそうだといい、彼女は客がこないあいだ、
時間を持て余しているとのことだった。
しばらく二人はいい気分で飲み続け、だいぶ良い雰囲気になっていた。
ママさんもほんのりと頬が赤く、どこか色っぽい。
そんな彼女を見て彼はなにかを予感していた。