『甲賀地下蔵』-1
【はじめに】
本作品は池波正太郎著『真田太平記』の「甲賀問答」の章に関する2次創作(駄作)です。
今回は甲賀で負傷したお江が亡き父の親友である田子庄左衛門の忍び小屋の地下蔵で献身的な介護により回復後、彼が甲賀脱出の道筋を紙に記す中で傍らに寄り添うお江と一線を越える場面を深堀りしたものです。
原作はこれから或いは原作を読み終えられた方で原作のイメージを大事にしたい方はご遠慮ください。
また本作を読まれる方も、可能なら事前に原作を読んでおけば本作はすんなり入ってくると思います。
以上、長くなりましたが前置き終わります。
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ーーーー庄左衛門の左掌が襟元から露わになった乳房を包みこんだ時、鼻先で口を吸い合うお江の唇の奥から言葉なき呻きが微かに漏れた。
背中に回されたお江の掌に力が籠もり、覆い被さる彼の衣を握りしめたまま下へ下へと引き下ろそうとしていく中、
庄左衛門はお江の舌を存分に味わいつつ自らの両肩を上下に動かしてお江の所作を助けていった。
彼女とこのようなことになろうとは、恐らく過去の庄左衛門には想像もできなかっただろう。
無論お江が真田の草の者として八面六臂の忍び働きをしていることは風の噂で耳にしていたし、その働きの中に“くの一”特有の身体を張ったものが含まれることは老練な忍びとしては当り前のことだと分かっていた。
だが庄左衛門の親友である馬杉市蔵の娘であり、自分が若かりし日に顔をあわせている彼女を救った結果、本能の導くまま自然な流れでその相手に自分がなろうとは。
かつて少女特有の朗らかな笑みを浮かべてくれたお江が20年余の時を越え、自分の躰の下で肌を露わにして横たわり自分の老いた躰に自ら肢体を絡ませている。