『Game of M』 第2話-3
「そう、実はね、ルアール社は新しいゲームを開発してて、そのモニターになってくれる子達を捜してるのよ」
「本当っ?すごいじゃん、俺やりたい!!」
アレクは思いっきり机に身を乗り出して話しに喰い付いたが、翔吾は少し不思議に思って聞いてみた。
「あの…わざわざ探さなくても、ルアールの新作のモニターならやりたい人なんていくらでもいるんじゃ?」
加奈は少し、困ったな、という表情で答えた。
「えぇ…、実はね、このゲームの開発はまだ試作段階なんだけど、かなり大掛かりなプロジェクトなの、だから産業スパイを警戒してて、公にモニターを募集するわけにはいかないのよ」
「なぁーるほど」
アレクが大袈裟に頷く、
「そういう訳で、この大会で目を付けたあなた達2人にモニターのお願いをしたいの」
さらに加奈は続ける、
「だからこの話は絶対に秘密厳守、他にも色々と制約があるんだけど、でも、その代わりに、と言っては何だけどアルバイトという形で会社から謝礼が出るわ」
「新作ゲームが体験出来る上に給料まで貰えるなんてもう最高じゃないか♪大学はもうすぐ夏休みだし俺は全然OKだね!!」
アレクの方はもうやる気満々だ。
「澤村君、あなたはどうする?」
確かにルアールの新作モニターなんてそうそうなれるものじゃない、迷ったが結局好奇心が勝った。
「はい、俺もやってみたいです」
「良かったぁ、じゃあ2人共よろしくね、一応他にもモニターに決まってる子達がいるんだけどその子達の紹介は始まってからでいいわね」
「はい」
「はぁーい」
「モニターは君達が夏休みに入ってから始める予定だけど、数日後にこちらから連絡するわ、えーっと、この書類に必要事項を書いて貰えるかな?」
書類には自分の氏名などを書く書類に加えて、このモニターの事を口外しない事を誓約させる書類もあった。
翔吾は書類にペンを走らせる。
翔吾達が書類を書き終わると今日は遅いからと加奈が車で家まで送ってくれた。
自宅のあるマンションの前で翔吾は車から降りると車に向かって振り向き加奈に向かってお辞儀をした。
「佐伯さん、ありがとうございました」
「加奈でいいわ、それより翔吾君、モニターになってくれてありがとう。始まったらよろしくね」
「はい」
加奈の乗った車を見送り、自宅の自分の部屋に入るとそのままベッドに直行した。
「今日は疲れたぁー」
翔吾はベッドで仰向けになり今日1日を振り返り呟いた。
「モニターかぁ…なぁんか楽しくなりそうだなぁ……加奈さん…綺麗だよなぁ………」
この夏に起こることを想像して、そのまま翔吾は眠りに落ちた。