羊のドルトムント。-1
草原はサイコー。
のんびり干し草を集めながらボンヤリとでっかい空を眺めていたんだ。
秋の空は気持ちいい!
仕事もサボりながらタバコに火をつけて干し草をまくらにゴロン。
暖かい風が吹いていつまでもこうしていたいって思った。
牧場では羊のドルトムントがのんびりしている。
「なぁドルトムント。おまえののんびり屋がうつっちゃったよ。」
と笑顔で話しかけた。
ドルトムントもこっちを向いてメェ〜と答えてくれた。
秋の昼間の僕の仕事は羊の番をしながら干し草集め。
ドルトムントはおいしそうに食事をしていた。
あのモサモサした毛玉みたいな毛をまくらにしても気持ちいいだろぉなぁ〜。
なんて想像してみた。
空を気持ちよさそうに浮かぶ雲みたいなドルトムントの毛皮。
ふふぁ〜とあくびまで出ちゃう。
かぶっていた麦わら帽子をまくら代わりに僕は夢を見た。
夢の中ではドルトムントが気持ちよさそうに空を泳いでいる。
スイスイと。
ゆっくり浮かんでいた。
あんな風になりたいなぁって思っていたら僕も知らないうちに空にプカプカ浮かんでいた。
雲をまくらにして大の字になった。
気持ちいいなぁ。
ドルトムントも気持ちよさそうだ。
ふと目がさめると
しまった!
ドルトムントがいない。
あいつは脱走の常習犯。
僕はあわててドルトムントを探しに行った。
ドルトムントは木下の木陰でスヤスヤとお昼寝していた。
僕も横に座って木を眺めていたんだ。
ドルトムントとお昼寝。
それも悪くないなぁ。
しばらく休んでからドルトムントと牧場に戻った。
「ドルトムント〜。
この柵の中はいやかい?」
ドルトムントは何も言わない。
僕も柵の中にいるんだ。
居心地のいい、毎日決められた柵の中に。
居心地よすぎて出てこうとは思わないけど。
ドルトムントはどうして柵から出たがるんだろ?
もっと違った場所に行きたいのかな?
僕は雲のように空を泳いでいたドルトムントを想像してみた。
フフっと笑い転げながら
いまも捨てたもんじゃないよ。
とドルトムントに言って干し草をまた集めに言った。
そう、いまも捨てたもんじゃないよ。
この大空の下で。