ダイチ 〜4th story〜-11
「そうだよ。それにダイチ君が、棗の思ってる通りの人かどうかも知りたい。棗は仕事してるダイチ君の事いっつも見てた。けどその反面、仕事してる以外のダイチ君の事はほとんど知らないんだよね。それと一緒でダイチ君も棗の事よく知らないでしょ?」
彼女はそう言うと少し寂しそうな表情を浮かべた。
確かに俺達は限られた状況でしか互いを見てこなかった。
だが俺には、今まで知らなかった彼女の一面を見たとしても彼女への想いが変わるとは思えない。
『それって、棗ちゃんを抱かなきゃ証明できない事?』
そんな俺の問いに彼女は首を横に振った。
「抱かれなくてもわかる事だよ。ゆっくりゆっくり、時間をかければね。けど棗、もう待てないんだ。ダイチ君に気持ちを伝えた以上、はっきり答えを貰いたい。」
俺は暫しの沈黙の後、煙草を灰皿に押し付け、ゆっくりと彼女を抱き寄せた。
そう、彼女のテストを受ける事に決めたのだ。
『棗ちゃん。今の俺の気持ち、聞いて欲しい。』
「…うん。」
彼女はそっと目を瞑り言った。
『ついさっき気付いたばかりの気持ちだけど、俺は棗ちゃんが好きだよ。』
言いながら唇を寄せ、彼女にキスをする。
「…んっ。」
軽くついばむだけのキスに彼女も応え、唇を割る。
『棗ちゃんの言う通り、恋ってしてるだけで幸せな気持ちになれるんだね。』
少し顔を赤らめた彼女の前髪をかき分け、額と頬にもキスをする。
『2年以上も気付かなかったなんて、もったいない事してたよな。』
そして彼女の黒のノースリーブのニットに手をかける。ざっくりと編まれたニットの生地は触り心地も良く、手によく馴染んだ。だがその下の軽く小麦色に焼けた肌はそれ以上に滑らかで、まるで絹糸の様だった。
『俺さ、今すっごいドキドキしてる。こんな緊張するの、産まれて初めてかも。』
荒がう事なくニットを脱いだ彼女は、俺の胸に額を当てて言った。
「ホントだ。けど、棗も一緒だよ。ダイチ君に触れられるだけで、すっごいドキドキする。」
俺はそれを確かめる様に彼女の胸に手を当て、彼女の鼓動を探った。
そして自分の鼓動よりも少し早い彼女の鼓動を確かめると、首に結ばれた紐を解き、ブラトップを外す。
『俺さ、あの店の店長になってから、もうすぐ3年が経つんだ。』
恥ずかしそうに腕で自らの胸を覆う彼女は、俺の言葉に頷いた。
『店長になってからはずっと仕事ばかりで、恋なんてすることすら忘れてた。棗ちゃんがいてくれなかったら、きっと忘れたままだったと思う。』
彼女の腕を避け、隠されていない首筋にキスをすると、彼女はくすぐったそうに首を捻った。
『だからさ、今日棗ちゃんが気持ちを伝えてくれて本当に嬉しかった。ありがとう。』
胸を覆う彼女の腕の下から指を滑り込ませ、彼女の胸の膨らみの形を確かめる様に撫でると、胸の頂点が固さを帯るのがわかった。
掌には少し余る程のそれは、例えようのない極上の感触を俺の指に与える。
「んあっ。」
彼女の熱い吐息につられ、俺の息も荒さを帯る。
俺は彼女のスカートのジップを下ろし、そのまま床にスカートを落とした。
脚を覆っていたスカートが無くなった事で露になった脚は細く美しく、思わずみとれてしまう。
そして俺はその脚と肩に腕を回し、そのまま彼女をを持ち上げた。
「えっ?!」
突然の浮遊感に戸惑う彼女は、慌てて俺の首に両腕を回した。
『ベッド行こ。』
俺はそう言って彼女をベッドへと運んだ。