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上野家のある週末
【SF 官能小説】

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新たなる訪問者-1

 ※これから最終章となりますが、物語の終わりに向けての転末が主で官能的描写は少ないです。ご了承下さい。


 正輝は目が覚めると一瞬、そこが何処か分からなかった。だがすぐに、

(母さんの部屋だ。)

と思い至り、サイドテーブルの時計に目が行く。昼に近い時間だ。

(かなり寝過ごしたな。)

と驚きつつ、昨晩の事を少し思い出していた。

(最後は二人共一緒に寝ちゃった筈だ。)
(流石に疲れていたんだな。)

と苦笑いした。真っ裸の筈だったが自分の短パンを履いていた。昨晩の出来事を思えば、体液などが付いていても良いのに拭かれたのか目につかない。それにシーツも交換されている様だ。

(母さんが体を拭いて、短パンも履かせてくれたのか。)

と思い、ベッドから降りて母親の寝室を後にした。


 台所にいる恵が見え、正輝は

「おはよう!」

と元気良く挨拶すると恵も、

「おはよう、今食事の用意してるから。」
「シャワー浴びて来たら。」

と微笑んで返した。正輝は、

「そうするよ。」

と返すと着替えを取りに自分の部屋に向かった。恵は、正輝とのやり取りがすぐに終わってホッとしていた。自分の顔が赤くなっているに違いなく、正輝に悟られたく無かったのだ。正輝を見た瞬間、昨晩の出来事が脳裏に浮かび挨拶を返すのも一苦労だったのだ。

(何度、逝ったのか分からないわ…)

と無数の絶頂をもたらした息子を正視出来なかった。ベガァ人達に強要された相姦セックスを例外的な物で媚薬のせいだと告げた夜、自ら息子の部屋に向かい関係を望んだ。

息子の性器欲しさに恋人になる事を了承し、正輝が望む時はいつでも何でも応じる事さえ約束したのだ。ベガァ人に媚薬を盛られた上での初体験のセックスで開眼したと思われる旺盛な性欲と敏感な性感覚のせいだとしても自らの意志で行った事には間違い無い。

(膣に何回出されたのか、覚えて無い程だ…)
(顔にシャワーの様に射精され、口内に大量の精液を注ぎ込まれた…)
(それを悦んで飲み干していた…)

と恵は自分の顔が火照り更に真っ赤になるのが分かった。頭を振りながら、

(責任有る任務をまかされているのよ!)
(元の生活に戻らないと任務にも支障をきたすわ。)

と自分を戒める。食事が出来て間も無く正輝がやって来た。恵は食べ物を配膳するといつもの様に二人向かい合い食べ始める。食事も終わりに正輝にコーヒーを自分にティーを出して飲め始めた。

(良かった。)
(いつもの食事と変わらないわ。)

と恵が安堵した時、

〈恵、お待たせ!〉
〈完全復旧出来たわ。〉

と頭の多目的チップからマザーが話し掛け、突然の事に思わず恵は立ち上がる。びっくりして正輝が恵を見つめる。恵は満面の笑みを浮かべ、

〈もっと時間が掛かるかと思っていたの!〉
〈こんなに早い何て嬉しい誤算だわ。〉

と返すと、

〈ベガァが送り込んで来た制御ウイルスは、元々我々の物だから抗ウイルスデータに辿り着いたら後は早かったの。〉
〈本星に今回の事を連絡するでしょ?〉

とマザーが応える。恵は頷き、

〈ええ、すぐに今回の二人のベガァ人達の協定違反を報告して頂戴!〉
〈今、収容ユニットにいる二人のベガァ人達の生体データ付きで。〉

と恵は指示した。恵の頭内の多目的チップには、恵に起こったあらゆるデータが保存されマザーに転送されるのだ。今、マザーは昨日起こった出来事全てを把握していた。

恵は口を動かす事なく思考でマザーと会話していたが、正輝はそれを知らない為、急に立ち上がって笑顔になったりしている母親に戸惑い心配していた。そんな正輝を見て恵は微笑みながら頷き、

「大丈夫だから、すぐに説明するわ。」

と言うと正輝はホッとして安心した表情になる。そんな正輝を見ながら、

〈マザー、昨日ベガァ人達が私と正輝にした性的な事は報告には入れないで。〉

と恵は顔を赤らめ頼んだ。

〈ベガァ人達が襲撃して来て、私と正輝に身体的外傷を及ぼした事とベガァ人達を捕獲した事、それに違法採掘を匂わせた事を報告して頂戴。〉

と本星への報告内容を指示した。

〈分かったわ、恵。〉
〈あなたが最終的に報告内容の決定権を持つ。〉
〈それで本星に報告する。〉

とマザーは了承した。恵は胸を撫で降ろし、フーと息を吐いた。本星には今回の性的な出来事は知られたく無かった。彼らには、ただの生殖活動で大して興味を引く物では無いと分かっていても。恵は正輝に向き直り、

「話したでしょ、マザーの事。」
「マザーが復旧したの。」

と教える。正輝は、

「母さんの船のAIの事だよね。」
「良かった。ウイルス攻撃から直ったんだね。」

と喜びながらも、

「どうやって、それを知ったの?」
「ブレスレットは今はして無いし。」

と不思議がる。恵は自分の頭を指差し、

「頭にチップが入って、それで会話してるの。」
「言葉に出さなくても考えるだけで、マザーに伝わるわ。」

と説明する。正輝は、

「それで無言で急に立ったり、笑顔になってたのか。」

と納得がいったとばかりに頷く。恵は、

「あなたの頭にも同じ物が入ってるの。」

と言うと正輝は驚く。そして、

「僕もマザーと頭の中で会話出来るの?」

と勢い込んで聞いて来る。恵は首を振り、

「いいえ、出来ないわ。」
「機能は制限されていて、貴方の居場所を把握する為に入れたのよ。」
「貴方の保護と監督が目的。」

と言い、

「貴方にはアルファの遺伝子が入っているから、人間との交流には注意しないといけないの。」

と説明した。正輝は少しショックを受けている様だった。
 


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