女らしく【17】『霊剣と妖刀とすれ違い』-1
何もしたくない…
やる気が起きない…
ベッドの上に寝そべり、無気力に時間を潰す。
「お姉っさまぁ♪…アレ、どうしたんですか?元気ないですよ?」
ノックもせずに詩乃が部屋の中に飛び込んで来た。
「詩乃か…」
「何かあったんですか?私でよければ何でも相談に乗りますよ!」
「何でも…ねえよ…」
ゴロンと寝返りをうち、詩乃に背を向ける。
「ほっといてくれ…」
「ほっとけないですよ!私の愛しいお姉様に元気が無いんですよ!一大事です!」
ベッドがギシギシと音を鳴らした。どうやら詩乃が上がってきた様だ。
「私が癒して差し上げます♪」
そういうと詩乃は背後から手をオレの腰に回し、密着してきた。
「はわぁ…お姉様、暖かいですぅ♪最高♪癒されるぅ♪」
「お前が癒されてどうする…」
とりあえず肘で軽く頭を小突く。意外にもその一撃で詩乃は大人しく離れた。
「お姉様…ほんとにどうしたんですか?」
オレは…至って普通だよ…
「嘘です!さっきの一撃にも愛が籠ってませんでした!いつもなら、こう…厳しさの中にも優しさがあって…やられても、むしろ…快・感♪
やるならそういう一撃をお願いします!」
なんだ…それは…
お前にそんな一撃なんてしたことねえよ…
いつも厳しさ100%だ…
「最近変ですよお姉様…先週の土曜日からご飯もあんまり食べてないですし…」
ズキッ…
胸の奥が締め付けられる様に痛んだ。
「頼むから…今日は帰ってくれ…また今度ゆっくりと構ってやるから…」
その後、しばらくしてドアが閉まる音がした。
また寝返りをうち、壁に掛かったカレンダーに目をやる。
「もう…一週間になるのか…」
先週、オレは震えながら大和に告白をした…
その答えは…
『マコト…考えさせて欲しい』
これだけだった…
「…何時まで考えてるんだよ…大和…」
起き上がり、ベッドの上で枕を抱えながら、顔をそれに埋める…