第二十五章 並んで正常位-1
第二十五章 並んで正常位
「いいっ・・・あきちゃんっ・・いいっ・・・
あっあっあっあっ・・・あっ・・・」
そらさんの高い声が響いている。
「おおぉっ・・・そらっ・・そらちゃんっ・・・」
秋生さんが妻の名を何度も呼んでいる。
「アキちゃんっ・・アキちゃんっー・・・」
絶頂に顔をそらす時も、薄目をこじ開けるように夫を探す表情がいじらしい。
「ああっ・・あなたっ・・・
剛さんっ・・・あっ・・・あっ・・・」
新藤さんと両手の指をガッチリ結びながら、貫かれるままに腰を振る桜さんも確かめるように、その名を呼んでいる。
「剛さんっ・・ああぁ・・・
つ、剛さんっ・・・剛さんっ・・・」
まるで二度と自分の夫の名前を他人に、私達に呼ばせないようにしているように聞こえる。
初めて会ったころ桜さんは名前ではなく「あなた」と呼んでいた記憶がある。
これは想像でしかないが、私やかおりさんが新藤さんの名前を呼びながら交わっていたのを見てから、変わったのではないだろうか。
だって、私も同じ気持ちだから。
夫の名前を呼ばれることが、こんなに嫉妬心を煽るとは思わなかった。
「さくら・・・あぁ・・
さくらっ・・・さくらぁ・・・」
剛さんも深く腰を入れて桜さんを抱きしめながら、愛おしそうに妻の名を呼んでいる。
「かおりぃ・・・」
「あなたぁ・・・」
藤本さん夫妻も例外ではない。
8人が4組の夫婦は、互いのパートナーを取り戻した歓びを実感しているのだ。