第二十八章 思い出づくり(画像付)-1
第二十八章 思い出づくり
(馬鹿な、わたし・・・)
オレンジ色の光が動くインジケーターを、うつろな眼差しで追う香奈子は自分を責め続けていた。
最上階から降りていくエレベーターがどの階で止まるのか、男には知らされていなかった。
(ど、どうしよう・・・)
後悔が胸に広がっていく。
懇願する男の手を振り解く事が出来ず、今夜付き合う事を了承してしまったのだ。
『十二時まで・・・
いや、一時間だけでもいい・・・』
男は巧妙な逃げ道を用意していた。
『思い出が欲しいんだ・・・』
仕方なく納得するような曖昧な形で、香奈子を誘う。
このままホテルの部屋に連れて行かれ、抱かれるのだろうか。
『僕の方からは決して貴方に手を出しませんから』
そう、竹内は約束をした。
(で、でも・・・)
嘘に決まっていると思った。
そんな男がレイプなどする筈がないではないか。
(卑怯な竹内の事ですもの・・・
信用してはいけないわ・・・)