one-sided love*a memory*-3
「チ「大丈夫よぉ!チユルが弱いのよぉ!」
小さな少女の発言を遮った事にも気付かない、今も昔も変わらず、しゃしゃりな母親。
「チユ…虫…怖いもん…。」
クッキーを囓りながら、ふてくされた顔をするチユル。
虫か…と呟き
「じゃあ、おばちゃんと一緒に公園でも行こっか?」
聖母マリアの発言。それを聞いた途端、パァッと顔を輝かせる3歳児2人と、お腹を大きくさせた大人1人。
「本当っ?!」
「わぁい!!早く早くっ!!」
「お弁当は作った方がいいかしら?!」
燥ぐ、『3』人。
それを見て、頭を抱える聖母マリア。
「…好きにしてちょうだい…。」
……―――
「そうそう!小春ちゃん(春揺母)とは、仲が良かったのよ〜!」
しゃしゃり母の声で、いきなり現実に引き戻された。
「ちょっとぉ!話聞いてんだから!突然喋り出すのやめて!」
母親を叱るハユル。その光景を、ポケーッと見ているチユル。
「あら、いいじゃないの!ねぇ、チユル。」
「ん…話…続けるよ…。(無視)」
「でね…その春揺ってのとは、良く…遊んだんだ…。海とか…遊園地とか…。」
そう言い、チユルは一旦言葉を止めた。
そして…ふぅ、と息を吐くと、春揺の姿を思い出す。
平均身長に満たないくらい、小さくて可愛かった春揺…。
いつも一緒で、うるさいくらい、しつこいくらい、楽しませてくれた春揺…。
でも…
「でも…。」
フッ…と、顔を曇らせて俯く兄やん。
「…どうしたの…?」
「…………んだ……。」
小さな、消えちゃうくらいか細い声…。
「春揺…急に、いなくなっちゃったんだ…。」
別れは、突然やってきた。
いつものように、昼を食べてから遊びに来た春揺…。
でも、その日…俺……
「いっ…痛たたた…!」
母さんの…陣痛が始まって…病院に行ってたんだ…。
…入院して…医者には…明日って言われて、父さんと帰った…。