第二十七章 Pホテル-8
「香奈子さん・・・」
竹内は隣に腰を下ろすと、脂ぎった顔を近づけてきた。
「これだけは分かって欲しいのですよ」
(ああ・・・)
呟く低い声が心にしみこんでくる。
ヤニ臭い息がケダモノにされた本能を呼ぶのだろうか、身体が熱く火照る気がした。
口中に広がる生臭い味と共に興奮が蘇る。
『んふっ・・・んっ・・・
んんっ・・・んふぅっ・・・』
男の太ももを抱え込むようにして、夢中でリズムを取っていた。
(美味しい・・美味しいのぉ・・・)
妖しい叫びが、心の中で響いている。
「私はあなたを愛しています・・・」
ゴツゴツした指が香奈子の手を握る。
「うっ・・・・」
ビクンと電流が走る。
「これは偽りでも何でもない・・・
本当の事なんですよ」
(ああ・・・だ、駄目・・・)
囁く男の視線を、そらす事が出来ない。
「十七年間・・・ずっとあなたを・・・」
握られた手から、むず痒い刺激が伝わってくる。